<秋季東京都高校野球大会:関東第一7-1府中東>12日◇1回戦◇JPアセットスタジアム江戸川

 この夏の甲子園で準優勝した関東第一は、秋季大会の1次予選は免除されており、都大会の1回戦が新チームで初の公式戦となった。米澤貴光監督に秋のチームを聞くと、「未知数」という言葉が返ってきた。投手と外野手の二刀流の坂本 慎太郎(2年)や主将の越後 駿祐内野手(2年)のように、夏を経験している選手はいるものの、ほとんどが公式戦は初めて。それだけに、やってみないと分からないというのが、米澤監督の考えだ。8日までは佐賀で夏のメンバーを中心に国民スポーツ大会(旧国民体育大会)に参加していた。そのため、1、2年生は、国民スポーツ大会に出場する3年生と紅白戦をするなどして、チームを作ってきた。

 初戦の先発は背番号1の坂本。1年生の春から登板している坂本だが、立ち上がりは「緊張していたようですね」と米澤監督。府中東が坂本の球にうまく合わせ、安打2と四球で一死満塁とし、5番・小野 駿之助捕手(2年)の中前安打で府中東が1点を先制した。しかし続く先発投手でもある府中東の6番・池田 亮大(2年)がスクイズをしようとして空振り。三塁走者が挟まれアウトになり、府中東は1点止まりだった。「立ち上がりは悪かったです。チェンジアップでしたが、スクイズを空振りしてくれて助かりました」と坂本は言う。

 その裏関東第一は、一死二塁から3番・坂本がファウルを2球打った後、ボール1を挟み、4球目を打ち右前適時安打。関東第一が同点に追いついた。坂本は甲子園の決勝戦の延長10回タイブレークで二死から打席に立って空振りの三振に終わり、最後の打者になった。「初球から振らなかったことに悔いが残りました。新チームでも、初球から打ちに行くことをテーマにしてやってきました」と語る。初回の同点打はまさに初球から振りに行っての安打だった。

 関東第一は1回裏に5番・石田 暖瀬外野手(2年)の適時打もあり、1点を追加して逆転した。

 2回裏関東第一は7番・田村 渉外野手(2年)が右前安打で出塁し、犠打で二塁に進んだが、三盗に失敗した。しかし9番・入山 正也外野手(2年)が四球で出塁すると1番・小林 響葵内野手(2年)がレフト柵越えの本塁打を放ち2点を追加した。「小林はパワーがあります」と米澤監督。逆に府中東は三盗を刺した後に四球を出した後の一発だけに「あれが痛かったです」と、府中東の五江渕 好正監督は言う。

 その後関東第一は、5回、6回、7回に1点ずつを入れた。投手は5回から石井 翔(1年)、7回途中から松澤 琉真(2年)と、坂本を含め左腕投手3人をつなぎ、2回以降は失点を許さなかった。特に2番手の石井は2回2/3を投げ被安打、四死球ともに0。奪三振は5という圧巻の投球で、試合後米澤監督も「石井が良かったですね」と評価した。関東第一は投に打に坂本が中心であることは確かだ。それだけに、坂本の負担を軽くする、ほかの投手の存在は重要である。

 関東第一は中1日を挟んで国士舘との2回戦に臨まなければならない。関東第一はこの試合で15人の選手を試合に出した。試合でどこまでできるかは未知の選手を試合に出して、手探りをしながらチームを作っているところだ。関東第一は2回戦に勝てば帝京・佼成学園の勝者という厳しいブロックに入った。一戦一戦戦いながら、戦力を整えていくことになる。

 一方敗れた府中東は先制点を挙げたほか、好守もいくつかあり、善戦したと言える。昨年の2月から12月まで全面改修のため、グラウンドで練習できなかった。改修工事が終わり、グラウンドは広くなったという。この夏は西東京大会の4回戦で日大二に2-4と善戦。関東第一ともしっかり戦っただけに、経験を糧に、今後の成長を期待したい。