<秋季東京都高校野球大会:共栄学園4-3岩倉>12日◇1回戦◇JPアセットスタジアム江戸川
共栄学園のエース・首藤 健介(2年)は、昨年の夏、1年生ながらベンチ入りし、新チームでただ1人、甲子園の土を踏んでいる。それだけに原田 健輔監督の信頼も厚く、「首藤はどんなに打たれても代えない。自分が打たれる中でどうすればいいか考えろという方針でいます」と語る。
昨夏の東東京大会の準決勝の再戦である岩倉戦で共栄学園は、1回表に二死二、三塁から5番・川村 快空内野手(2年)の2点三塁打と、6番・内池 緑内野手(2年)の右前適時打で、この回3点を先制する。
けれども共栄学園のエース・首藤は立ち上がりピリッとせず、四球で2人の走者を出し、岩倉の5番・岩﨑 大悟内野手(2年)の右前安打で岩倉が1点を入れる。2回裏は岩倉の1番・安孫子 昂平外野手(2年)の適時二塁打で1点差にし、3回裏は岩倉の4番・内田 航友内野手(2年)と5番・岩崎の連続二塁打で、岩倉が同点に追いついた。
「初戦ということで緊張しました」と首藤は言う。「深呼吸をして呼吸を整えました」と言う首藤は、後半立ち直り、岩倉打線を抑える。呼吸の大切さは、YouTubeでドラ1候補左腕・関西大の金丸 夢斗投手が行っていることをみて、参考にしたという。
岩倉も先発の上原 慶大(2年)から佐竹翔太(2年)につないで2回以降は得点を許さない。膠着状態の試合は、7回表共栄学園が二死二塁から3番・木村 恒太外野手(2年)の打球は遊撃手と中堅手の間に落ちる安打となり、二塁走者が還り共栄学園が勝ち越した。
岩倉は昨年の夏の共栄学園戦で9回二死からほぼ手中に収めていた勝利を落球により逆転サヨナラ負けした痛い経験がある。それだけに、必死の反撃を試みる。9回裏二死から代打・南 櫂斗(2年)が右前安打で出塁する。続く1番安孫子の遊ゴロを失策で二死一、三塁とする。しかし2番・岩﨑 佑志外野手(2年)が遊ゴロに倒れ、4-3で共栄学園が逃げ切った。「味方のエラーにはびっくりしましたが、9回は楽しんで投げようと思いました」と首藤。最後まで冷静さを失わなかったエースの気迫の投球が光った一戦だった。首藤はこの秋から背番号1になったが、これは部員の投票で選ばれたもの。甲子園出場の経験に加え、ナインの信頼を受けて、共栄学園・首藤の秋の戦いが始まった。