<秋季東京都高校野球大会:昭和 9―6 雪谷>13日◇2回戦◇JPアセットスタジアム江戸川
私立校が圧倒的に優勢の近年の高校野球である。まして、有力私学の多い東京都では、その差はますます開いていっているとも言われている。今大会では出場64校中、一次ブロック予選を勝ち上がって本大会に進出してきた都立校は13校のみ。そのうち、初戦突破をしたのはわずか5校だった。都立校同士の対戦が2試合あったので、私立校を下しての進出は3校のみだった。
そのうちの2校の対戦となった、2回戦唯一の都立校同士の対決である。
昭和は1回戦では、スミ1ながら駒沢大高を背番号6の塚本 凌大投手(2年)と1番の小林 遥真投手(2年)の継投で毎回のように迎えていたピンチを凌ぎながらも完封しての勝利。粘りを示した。一次ブロック予選でも初戦では調布南に9対2の7回コールド勝ち、代表決定戦では東洋と中盤まで競り合ったが、最終的には4対1と突き離しての快勝で本大会進出を果たしている。スコアから見ても、投手を中心とした守りがしっかりしているチームといっていいであろう。
雪谷は1回戦では、昨秋のベスト4日大二に対して、前半リードされながらも6回に大量7点を挙げて逆転。7回にも追加点を奪って、結果的にはコールドゲームで下しての進出で、チームは勢いに乗っている。雪谷は、一次ブロック予選では2試合連続の完封コールド勝ちもしている。
都立校同士で、ベスト16を懸けての熱い戦いが期待された。
昭和の大原博文監督は、「相手の方が力は上ということは分かっていました。ただ、同じ都立校同士の対戦でコールドゲームだけは回避したいなと思っていました」と、語っていたが、「そのためには、相手の勢いを止めなくてはいけない」という思いであった。
そして、この日も背番号6の塚本投手を先発で起用した。雪谷は、投手は2本柱ということだったが、先発は1番をつけた熊田 航大投手(2年)だった。
試合は、2回にお互いに1点ずつを取り合うと、3回も雪谷が一死から加藤 聖季選手(2年)以下、3連打で1点を奪い再びリード。ここで、昭和は塚本投手を遊撃に回して、背番号1の小林 遥真投手(2年)にスイッチ。小林投手は、さらなるピンチを併殺で乗り切った。
その裏、昭和は失策から好機を作ると、5番[/player]境 将希[player]選手(2年)の左中間二塁打で再び同点。ここで、雪谷の伊達昌司監督は熊田投手を諦めて、球威では上という松岡 史穏投手(1年)を投入した。しかし、その代わり端を熊谷 幹太選手(1年)が二塁打して逆転。さらに、8番波多野 誠捕手も二塁へ強烈な安打を放ちもう1点追加。この回3点となった。
そして、このリードで小林投手は上手に相手のタイミングを外していく投球を披露。4~7回は三者凡退で抑えていった。
6回にも、昭和は熊谷選手の右線三塁打などでさらに3点を追加。これで、昭和が優位に試合を進めていく形となった。
昭和は、シートノック前のアップ段階からランニングやトスバッティングでも、いい雰囲気を醸し出していた。そんな雰囲気が、そのまま試合にも生かされていたようにも感じられた。学校自体も自由自治を主体としているので、選手の自主性も生かされているのではないかと思わせてくれた。大原監督も、そんな選手たちの頑張りに目を細めている。
8回は雪谷も反撃して3点を返したものの、昭和は最後まで元気を失わないで、いい戦いぶりだった。
これで、小山台に続いて2校目の都立校のベスト16進出となったが、どちらもスポーツ推薦入学枠のない学校だ。そうした中で頑張って、結果を残しているところも高く評価されていいであろう。
雪谷は、8回に一死満塁から4番新井 柊登選手(2年)の左越二塁打が出て走者を一掃して反撃した。さらに9回にも1番加藤 聖季選手(2年)の中前タイムリー打で1点を返し、なおも好機を作ったものの、あと一歩及ばなかった。しかし、チームとしての力は十分にあるなと思わせる戦いぶりだった。
6回からは照明塔も点灯されてナイターとなったが、現状の中で、お互いが持てる力を出し切った好ゲームだったと言っていいであろう。