東北大は宮城教育大に連勝して今秋2つ目の勝ち点を奪取。目標のAクラス入り(3位以内)はならなかったものの、4連勝締めで4位を決めた。

 この日は打線が15安打12得点と機能した。3番・植木 祐樹外野手(4年=長野吉田)は初回の先制適時打含む3安打2打点をマーク。打率を.441まで上げ、今春に続いて2季連続の首位打者を獲得した。

 仙台六大学野球リーグの2季連続首位打者は、2005年の元ロッテ内野手根元 俊一氏(花咲徳栄ー東北福祉大)以来、19年ぶり。東北大の選手としては初の快挙に、「春も秋も獲れると思っていなかった。素直にうれしいです」と白い歯をこぼした。

 前節の東北工業大2回戦では今秋1号2ラン含む4安打6打点と大暴れ。打率を.393まで急上昇させたが、「首位打者は狙っていない。ベストナインを獲れればいいかな」と謙遜した。しかし、「あの試合の次の日に『あれ、いけるんじゃね?』と思い、意識し始めました」。狙い通りに最終節も安打を重ね、偉業を成し遂げた。

 今春は東北大の選手として10年ぶりとなる首位打者に輝いたものの、チームは5位に終わり、「チームの勝利にはつながっていない」と感じていた。

 秋は上位を打つ藤田 勇希内野手(3年=横浜サイエンスフロンティア)、志和 孝祐内野手(3年=盛岡三)らが好調だったこともあって好機で回ってくる打席が多く、より走者を還す打撃を心がけた。勝利した4試合はいずれも打点を挙げ、計11打点で打点王も獲得。春とは一味違う首位打者だった。

 さらにベストナインも受賞し、個人三冠を達成。植木は「自分は3年生の頃まで、出れば三振で、守備でもエラーをして、散々な選手だった。そんな自分が4年春からレギュラーになって、ここまで結果を残せたということで、後輩たちに勇気を与えられたのではないかと思います」と胸を張った。

 植木は硬式野球部とボディビル部を兼部しており、2、3年時には全日本パワーリグティング選手権大会(インカレ)に出場している。筋トレは必然的に日課となり、野球の面でもスイングスピードの向上や走力の強化につながった。

「3年生まで自主練習をほとんどしていなかったんですけど、その中でも、筋トレはこのリーグの誰よりもやってきた自信があります」と植木。後輩たちに向けては「筋トレでなくとも、何か一つ『誰よりもやった』と言えることに取り組んでリーグ戦に臨むと、大きな自信を持てる」と助言を残した。

 大学卒業後は野球から離れる予定で、「これからは社会人として頑張るので、草野球もやらないと思います」ときっぱり。ただ、「筋トレは続けて、今度はフィジークの大会に出たい」と新たな意欲をのぞかせた。東北大、そして仙台六大学野球リーグの歴史に名を刻んだ男は、清々しい表情で次なる一歩を踏み出した。