<秋季東京都大会一次予選 第10ブロック◇小平南 15―5 田園調布 (5回コールドゲーム)>1回戦◇明星高校グラウンド◇8日
この夏の西東京大会では初戦で農業に大勝して、3回戦ではかつてセンバツ出場も果たしたことのある強豪世田谷学園に7対8と大善戦した小平南。敗れはしたものの、チームとしての自信にはなったはずだ。率いる増子良太監督は雪谷出身で、主将として2003年夏に強豪私学を下して甲子園出場を果たしており、当時の意識も注ぎ込んでいる。
田園調布を率いる中島秀馬監督は日大二出身で、日本大では準硬式でプレーし、最終学年ではクリーンアップを打った実力者だった。今では狭いグラウンドながら工夫をこらし、熱心な指導で地味ながらもしっかりとチームを作ってきている。夏は、日体大荏原に7回コールドゲームで屈したものの、そこからの立て直しの一戦である。
小平南の増子監督は、「相手は10人ですが、経験値ということで言えば、向こうは夏からのメンバーも多く残っているようです。ウチは一人しかいません。だから、とにかく経験を積ませていくということが大事だという思いで戦いました」と序盤リードしても気が気ではなかったという。
案の定、6対1とリードしながらも3回、先発の渡邉侑真投手(2年)が突如乱れて6四球を与えてしまい2つの押し出しと、田園調布の5番佐々木怜皇選手(1年)の満塁走者一掃の三塁打などで5点が入り、たちまち1点差となってしまった。
それでも、その裏に打者一巡で5点を取り返し、さらには4回と5回にも2点ずつを追加して、終わってみれば5回コールドゲームで15対5。小平南は毎回得点でもあった。4回からは左腕の江口昂希投手(1年)が四死球は与えながらも無安打で2イニングを0に抑えた。田園調布打線は、思い切ってスイングしており、投手としては怖いところもあったかもしれないが、そこを巧みにタイミングを外していくような投球でもあった。
増子監督は、「何とか公式戦という場での経験を積ませられたのは大きいと思います。しんどい中でも、それら一つひとつが経験になっていってくれればという思いです」と、次へ進出できたことに安堵していた。そして、エースの伊藤新大投手を使わずに勝てたということも、大きかったようだ。
田園調布は佐々木怜皇投手と佐々木歩夢三塁手が打線の中軸でもあり、初回途中で二人を入れ替えて起用していたが、5イニングで10四死球はやはり自滅だった。24歳と若い就任早々の中島秀馬監督は、「登録は10人ですが、1人がケガで出場できないので、9人で回していかなくてはならないのですが、こういう自滅の展開になると、苦しいです。もう一度整備していかなくてはいけないと思っています」と語る。
来春へ向けて、田園調布で野球をやって行こうと思ってくれる生徒が集まってくることを願っている。