軍歌調の校歌も
創部わずか2年目の2004年のセンバツで初出場初優勝を果たし、その年の夏も準優勝を果たした愛媛の済美の校歌も話題になった。タイトルは『光になろう』というもので〈『やれば出来る』は魔法の合いことば〉というフレーズは人気となった。済美も元々は裁縫学校が前身の女子校で、バスケットボールなど女子スポーツは全国的な強豪としてのベースはあった。呼びかけ調の歌詞は〈済美にいるから出会えたね〉と表記して「済美」を「ここ」と読ませるなどユニークではあるが、こうした漢字の特別な読みは、校歌としては決して珍しいことではない。ほかにも、昨夏に初出場を果たした静岡県の浜松開誠館の校歌はシンガーソングライターの小椋佳氏が作詞作曲していた。ダークグレーとエンジを基調としたユニフォームとともに、話題にもなったことも記憶に新しい。
振り返れば過去にも、その時代を彩る独特な校歌はあった。軍艦行進曲がベースの盛岡一や明治時代の陸軍歌『歩兵の歌~万朶の桜』がベースで旧制一高西寮歌、『アムール河の流血』もベースとしている竜ケ崎一の校歌も独特だ。
後半で〈イエス イエス イエス〉を連呼する桜美林の校歌や〈ボーイズ ビー アンビシャス〉から始まる日大山形の校歌なども、ユニーク。近年では韓国語の京都国際の校歌も、初めて甲子園で流れたときにはひときわ目立った。
校歌にスポットが当たり、在校生も卒業生も一緒になって、歌うことができるのも、高校野球の素晴らしい魅力の一つと言っていい。高校野球を通じて、校歌を通じて、さらに母校を好きになっていく。素晴らしいことではないだろうか。