地方大会敗退もA級のパフォーマンスを見せた好投手たち

村上 泰斗投手(神戸弘陵・3回戦敗退)

兵庫大会成績 11回16奪三振自責点0防御率0.00

アピール度 A

 神戸弘陵の村上 泰斗投手は3回戦で敗れてしまったが、わずか2試合でも抜群のアピールだった。初戦の飾磨工戦では9回途中までノーノーピッチングの快投。1失点を喫したが、自責点は0。3回戦の西宮今津戦では5奪三振の快投。伸びのある140キロ後半の速球で次々と空振りを奪うことができていた。この球質の良さ、制球力の高さは一級品。スライダー、カットボールの精度の高さは申し分なかった。

 多数の球団スカウトが訪れ、幹部クラスも視察していたという。わずか2試合でこれ以上ないアピールができた。練習試合でも連日、140キロ台後半の速球を投げ込み、1年通して良い投球ができたのもプラス評価だろう。

狩生 聖真投手(佐伯鶴城・準々決勝敗退)

大分大会成績 13回14奪三振自責点2防御率1.38

アピール度 A

 一部のスカウトでは九州地区NO.1右腕の評価を受けていた狩生 聖真投手もアピールに成功した一人だ。広島・森下 暢仁投手(大分商)を彷彿とさせる投球フォームから常時130キロ台後半~145キロの速球は伸びがあり、特にアウトローに決まるストレートは絶品。130キロ近いスライダーも低めに集める投球も見事だった。

 大分大会では3試合を投げて、13回を投げて、自責点2、14奪三振と高卒プロを狙うには申し分ない数字だった。

髙橋 幸佑投手(北照・準決勝敗退)

南北海道大会成績 34.1回44奪三振自責点1防御率0.26

アピール度 A

 高校日本代表の一次候補に選出された髙橋 幸佑投手のパフォーマンスも申し分ないものがあった。支部予選から先発、リリーフで好投。34.1回を投げて、44奪三振、自責点はわずか1点。今年の高校生左腕では最も優れた成績を残した。

 スリークォーター気味からの腕の振りは非常に力強く、140キロ台後半を連発した速球の球威は今年の高校生左腕ではトップクラス。準決勝敗退後にはプロ志望届を提出することを明言した。春から夏にかけて順調にアピールした投手として、各球団はどんな評価をするのか楽しみだ。

柴田 獅子投手(福岡大大濠・決勝敗退)

福岡大会成績 投手 17回13奪三振自責点3防御率1.58

打撃 19打数10安打1本塁打6打点打率.526

アピール度 A

 190センチ右腕・柴田 獅子投手は今大会で大きく評価を上げた投手だ。特に博多工戦は5回無安打無失点の快投だった。フォームバランスもよく、ストレートの質、変化球の精度も申し分ない。ドラフト上位クラスの投球をしていた。決勝戦の西日本短大附戦で、速球は140キロ台前半にとどまり、3回途中で、被安打6とかなり振り抜かれていた。

 疲労の影響をかなり感じたが、今大会通して、春からの急成長を実感させる内容だった。柴田は打者としてもアピールが出来た。準々決勝の飯塚戦では豪快な本塁打を見せ、打率.526、1本塁打6打点と大活躍。投打のスケール感の大きさを高く評価されているのではないか。

小川 哲平投手(作新学院・準決勝敗退)

栃木大会成績 29.1回21奪三振自責点0防御率0.00

アピール度 A

 1年生から騒がれてきた小川 哲平投手の成長も著しいものがあった。センバツでは140キロ台中盤の速球を連発していたが、開きが早く、シュート回転気味の球質だった。春季県大会ではベンチも外れ、その中でフォームを改善。開きが抑えられた実戦的な動きになり、それでも高出力のストレートを投げられるという理想的な投球ができるようになった。カットボール、スライダーの精度も高く、栃木大会の準々決勝・文星芸大附戦では堀江 正太郎投手との投げ合いを制して、完封勝利。今大会は29.1回で無失点だった。甲子園に出場できなかったが、個人として満点ともいえるアピールだった。

堀江 正太郎投手(文星芸大付・準々決勝敗退)

栃木大会成績 18回31奪三振自責点1防御率0.50

アピール度 A

 栃木を代表する右腕の1人・堀江 正太郎投手の投球も見事なものがあった。最速148キロの速球は切れがあり、両サイドをきっちりとコントロール。速球以上に素晴らしかったのは130キロ台中盤のカットボール。フォークのように鋭く落ち、次々と三振を奪った。初戦の足利戦は19奪三振完封。準決勝の作新学院戦では1失点完投負けも12奪三振。2試合で31奪三振だった。変化球の精度の高さ、使い方は今年の高校生ではピカイチと呼べるほどのレベルだった。

まだ発展途上だが、潜在能力の高さを見せた大型右腕たち

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