今年のドラフトの最大の注目選手が明治大の宗山 塁内野手(広陵)だ。華麗な守備と堅実なバッティングで「獲得すれば10年ショートは安泰」と言われるほどである。すでに広島が1位を明言しているが、1位競合は濃厚だ。

 そんな宗山にドラフト直前の心境を聞いた。

“滑らかな守備”は現中日の先輩に学んだ

――練習を見ていると寡黙にこなしている印象でしたが、いつもそうなんですか?

宗山 まずは自分のことをしっかりやるのが当たり前ですから。その上でキャプテンとしてチームのこともみながらやっています。

――得意の守備で意識していることを教えてください。

宗山 試合に繋がることだと、1歩目の動き出しですね。ボールとバットが当たる瞬間にしっかり自分で動ける状態を作ることは練習から意識しています。

――宗山選手の守備の特徴として「滑らかさ」がありますが、昔からそうでしたか?

宗山 そこは大学来てから磨かれたかなと思っています。高校の時は流れの中で捕る形でしたけど、下級生の頃に先輩の守備を見たり聞いたりして、正確にプレーするにはどうすればいいか学びました。

――参考にしていた先輩を教えてください。

宗山 現在中日の村松(開人内野手・静岡)さんの正確性は“大学生らしい”と思いましたので、盗みながら練習しました。“大学生らしい”とは、『何気なくアウトを取れる』ことです。無駄な力を入れないというか、変な力みのない守備でアウトをとることです。

――村松さんから教わったことで印象的なことを教えてください。

宗山 ボールを捕球してからスローイングに繋げるときに、しっかり軸足に体重をのせることです。最初はスローイングが安定しなかったので、村松さんに話を聞いたときに軸足にのせる重要性を話してくれたのは覚えています。村松さんからは主に送球に関しては教えてもらいました。

――バッティングでは逆方向への当たりが多くありましたが、意識しているのですか?

宗山 ボールを長くみたいというのがあります。できるだけボールを長い時間見ることができれば、自分が打つべき球、そうでない球が見えやすいかなと思いますし、打てる幅が広ければいいのかなと思うので、結果的に逆方向にいい打球が飛んでくれればいいなと思います。

高卒プロは一切考えなかった

――広島の名門・広陵に入学した理由を教えてください。

宗山 父が広陵のOBで、自分の恩師である中井 哲之監督の就任1年目に入学しています。親子で教え子という感じですけど、昔からの憧れでもありましたし、家族も広陵に行って欲しいという思いもあったので、選びました。

――広陵の3年間はどうでしたか?

宗山 野球に繋がる全てのことを学ばせてもらった3年間でした。毎日自主練習には力をいれてやっていました。そこで自分で考えて練習する習慣が身に付いたと思いますし、今にも繋がっていると思います。

 自分が今できないこと、やるべきこと、やらなければいけないこと。色んなことに目をかけて自分に考えて練習をする時間があったことは本当に良かったと思います。

――高卒でプロ志望届を提出する考えはなかったですか?

宗山 自分の人生のプランのなかで高卒からプロ野球選手になる考えはなくて、大学4年間野球をしてからプロに行きたいという思いがありました。そのなかでも日本で一番レベルの高い六大学野球に行ってやりたいという気持ちはあったので、高校3年生の時に自分がどんな成績を残していようが大学にいくと決めていました。

 ゆくゆくプロに行きたい気持ちはありましたけど、大学4年間で木製バットにもなりますし、色んな選手と対戦して、色々な人と出会ってプロにいく方が自分はいいかなという考え方でした。

――大学では下級生からレギュラーを張ってきてプレッシャーを感じることはありましたか?

宗山 プレッシャーと言うより、周りの自分を見る基準が年々上がってきていると思います。「ここまでできて当たり前だろ」というレベルが上がっているんですよね。そのことに対しては気持ちを変えてもプレーにいい影響があるわけではないので、ただ堂々とプレーすればいいと思っています。

――今年の3月にはケガもありました

宗山 最初に怪我したのは肩でした。春のリーグ戦開幕前には完治していましたけど、そのあとに指を怪我してしまいました。2回骨折があって、試合に出られないと決まったときは、なんとも言えない感情でした。それでもチームメイトは「先があるからと」言ってくれましたし、そこはすぐに切り替えて、できることをやるしかないなと思いました。

 指は結構デリケートな部分でもあるので、元通りになるのかなとか、感覚が変わったりしないのかなとか、試合に出られない分、余計に感じていました。そういった面での不安はありましたけど、試合に復帰できる7月まではとにかくできるトレーニングをしていましたね。

西武・源田は「目標と同時に超えるべき存在」

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