さわかみ関西独立リーグ・和歌山ウェイブスでドラフト指名を待ちわびる男がいる。小川 佐和外野手(石見智翠館)だ。
高校時代は地元和歌山から島根の強豪・石見智翠館に進学。同期には後にプロ入りを果たした水谷 舜外野手(現・日本ハム)や、久保 修外野手(現・広島)らと共に汗を流した。甲子園出場を目指して日々鍛錬を積んだが、1、2年生は出場できず、最後の夏となった高校3年時も決勝で益田東に敗れて聖地への切符を掴むことが出来なかった。
目標だった甲子園出場は叶わず、地元に戻って一度野球を辞めた小川。それでも、「野球が好きでNPBへ行きたい気持ちは途絶えなかった」と、4年間のブランクを経て故郷の独立球団・和歌山ウェイブスで選手として復帰を果たした。
野球から離れていた期間は趣味でサーフィンをしていた程度だったこともあり、まずは野球の感覚を取り戻すことに注力した。名門出身で培ったセンスは体に染みついていたか、オープン戦で結果を出すと、開幕戦から1番中堅手として出場を果たす。その後はリードオフマンとして打率.302、出塁率.414と安定した成績を残し、50m5.7秒の脚力を武器に58盗塁を記録。「高校時代から自信があった」と話す自慢の快足で、当時のリーグ新記録を樹立した。
復帰1年目にしてブランクを感じさせない身体能力を発揮し、プロスカウトからも注目される存在となった。チーム初のNPB選手輩出が期待されたが、昨年は指名漏れ。悔しさを味わった小川は、「今年は数字でアピールするだけでなく、結果を出すための準備を見つめ直し、練習の意識も高めてきました」と結果以外の部分にもこだわったという。その成果もあり、2年目は昨年を上回る63盗塁を決め、成長した姿をアピール。守備でも阪神などに在籍した西村 憲監督から体の使い方を教わり、新たな武器を手に入れて攻守で存在感を発揮した。
今年も調査書をもらい、運命の日に命運を待つこととなった。「去年は、今思えば指名されたらラッキーくらいでした。今年は昨年よりも自信はあります」。地元和歌山で夢を叶えようとする24歳に吉報が届くことを願いたい。