今年、シーズン91勝49敗と圧倒的な戦力で4年ぶりのパ・リーグ優勝したソフトバンク。CSのファイナルステージでも勢いに乗る日本ハムをあっさりとスイープして、日本シリーズ進出を決めた。圧倒的な王者はどんなドラフトを行うべきか。
“ソフトバンク基準”をクリアした剛腕とスラッガーを1位にするべきだ!
チーム本塁打117、チーム得点607、チーム防御率2.53はそれぞれ12球団1位、規定打席到達者5人もいる。規定投球回到達者は2人だが、リリーフ陣が盤石で、どの投手も155キロ前後の速球を投げ込む。選手層の厚さは12球団の中でも群を抜いている。また、外国人を獲得できる資金力もある。
となると、ソフトバンクが補強すべきはポジションではなく、質の高い選手の高さだ。
大学、社会人ならば、すぐに一軍で競争ができる選手。高校生ならば数年のファーム養成期間のうちに、チームにいるライバルを圧倒できるようなスケールの大きい選手だ。
大学・社会人でソフトバンクのレギュラーに負けない力量を持った選手は2人いる。関西大の金丸 優斗投手(神港橘)と愛知工業大・中村 優斗投手(諫早農)だ。
中村は常時150キロ台の直球、フォーク、高速スライダーを武器に、今年は69.1回を投げ、99奪三振、与四球は4と、K/BBは24.75%と圧倒的だ。リーグ戦だけで954球投げており、代表戦含めて1000球以上と疲労面は気になるが、ソフトバンク投手陣の中でもすぐに中継ぎの一角、先発に入っていけるストレートの圧力、変化球の精度、制球力の高さを持っている。ソフトバンクは中村の1位指名がベストだと思う。
一方の金丸 優斗投手(神港橘)の完成度は高いが、ソフトバンクの現投手陣と比較すると今年1年の投球は、ケガもあって物足りなさを感じる。中村の方が即戦力度は高いだろう。
もし彼らを外した場合、外れ1位は野手になるだろう。小久保裕紀監督は昨秋、監督に就任した際に打球速度160キロが一軍最低ラインと語っている。この1年の打撃成績、シーズン中での各打者の打球の速さを見れば、その方針は正しかったといえるだろう。
今年のドラフト候補でその数字をクリアしそうなスラッガーといえば、大阪商業大・渡部 聖弥外野手(広陵)だ。この秋で連盟記録となる119安打を達成。どの試合を見ても鋭いライナー性の打球を飛ばしており、フィジカルの強さもある。三塁、外野手もこなせて、この秋、優勝を決めた大阪経済大戦では、とっさの判断で犠打を決めて逆転サヨナラ勝ちに導いた。能力の高さだけではなく、勝負を左右する場面で冷静に自己犠牲ができる強打者は常勝軍団にはふさわしいマインドを持った選手だろう。渡部もまたソフトバンクの1位にふさわしい選手だ。
もちろん今年は大学生NO.1ショートの明治大・宗山 塁内野手(広陵)がおり、ソフトバンクは以前から高評価を与えていたと聞く。
宗山を1位にするかどうかは、22年ドラフト1位の高校生ショート・イヒネ・イツア内野手(誉)の扱いとも絡んでくる。イヒネは今季二軍戦で82試合に出場。打率.177だが、シーズン後半からパフォーマンスが一気に良くなった。本拠地のみずほPayPayドームで行われた韓国のNCダイノスとの三軍交流戦では豪快な本塁打を放っている。イヒネのブレイクは近い、と球団が考えているなら、宗山を避けるのではないか。