今年3年目となる現役ドラフト。2年目となった今季はソフトバンクから日本ハムに移籍した水谷 瞬外野手(石見智翠館)が交流戦MVPを受賞するなど、大ブレイク。すっかりストーブリーグのイベントとして定着した。
現役ドラフトの対象となるのは、チーム編成の都合上、出番が少なくなると予想される選手だ。先日行われたドラフト会議で来季のチーム編成は一気に進んだ。第二次戦力外期間中で少し気が早いが、ドラフト会議の指名をもとに、今年の現役ドラフト候補をあげてみたい。
まず名前があがるのが、巨人の増田 陸内野手(24歳・明秀日立)だ。右打ち強打の内野手としてドラフト2位で入団して6年。2022年は69試合で35安打、5本塁打を放ってレギュラー奪取の兆しを見せていた。しかし、23年は再び二軍を主戦場に戦い、今季は2年ぶりの一軍出場も4試合にとどまり、無安打に終わっている。
巨人は今年のドラフトで1位から3位まで全て内野手を指名。特にドラフト1位で高校生No.1スラッガーと称される石塚 裕惺内野手(花咲徳栄)の交渉権を獲得するなど、増田のライバルとなりうる存在が一気に加入する。立場がより厳しくなることが予想され、同校の先輩にあたる中日・細川のように現役ドラフトで出場機会を増やしたいところだ。
二人目はロッテの二木 康太投手(29歳・鹿児島情報)。チームは主力の高齢化が懸念され、今年のドラフトでは大学生右腕を2人、ドラフト4位では高校日本代表にも選出された速球派右腕・坂井 遼投手(関東第一)を指名した。現有戦力を見ると佐々木 朗希投手(大船渡)の海外移籍も噂されるが、今季プロ初勝利をあげた高卒2年目の田中 晴也投手(日本文理)や、昨年ドラフト3位で指名した木村 優人投手(霞ヶ浦)ら、若手右腕の成長にも期待がかかる。
二木は20年に9勝3敗の好成績を残し、翌年には開幕投手も務めた実績もあるが、23年に右太ももの肉離れで離脱し、今年は一軍で登板機会はなかった。現役ドラフトに出されれば、先発が手薄な球団が獲得に乗り出す可能性もあり得るだろう。
最後に紹介したいのは、ソフトバンクの野村 勇内野手(27歳・寒川―拓殖大-NTT西日本)だ。大型遊撃手として期待を受け入団を果たすと、ルーキーイヤーは97試合に出場し、パ・リーグの新人では37年ぶりとなる2ケタ本塁打&2ケタ盗塁を記録した。今宮 健太内野手(明豊)の後継者として期待されたが、その後は2年連続で春先に故障で出遅れ、一軍試合出場も23年が50試合、今年も38試合と年々減らしている。
ソフトバンクはドラフトでは課題だった今宮の後継者として2位で俊足が自慢の遊撃手・庄子 雄大内野手(横浜―神奈川大)や4位で同じ右の大型内野手・宇野 真仁朗投手(早稲田実)を指名し、昨年2位で指名した廣瀨 隆太内野手(慶応―慶応義塾大)も二塁手で38試合に出場するなど、ライバルの台頭でアピール不足に終わっている。初年度に鮮烈な活躍を見せていただけに、出場機会に恵まれれば再び輝きを取り戻せるだろう。