<第55回明治神宮野球大会第16回東北地区大学野球代表決定戦:富士大10-2東北公益文科大(7回コールド)>26日◇1回戦◇ヨークいわきスタジアム
24日のプロ野球ドラフト会議で6人が指名を受けた富士大は26日、2年連続の明治神宮野球大会出場をかけた東北地区大学野球代表決定戦に臨み、東北公益文科大を10対2で下して決勝に駒を進めた。
この日はオリックス1位・麦谷 祐介外野手(4年=大崎中央)、広島4位・渡邉 悠斗内野手(4年=堀越)、巨人育成1位・坂本 達也捕手(4年=博多工)と、ドラフト指名を受けた野手全員がスタメン出場。麦谷が2安打1打点、渡邉が1安打1打点、坂本が2安打1打点とそれぞれ結果を残した。
「定位置」の4番に座った右の強打者・渡邉は、同点で迎えた3回、2死三塁の場面で左翼フェンス直撃の適時二塁打を放ち、これが決勝点となった。「ドラフトは個人のこと。指名されてとてもうれしかったんですけど、一日で切り替えて、チームのために打ちました」。好機で持ち前の長打力を発揮し、勝利に貢献した。
小、中、高と捕手一筋だったが、大学では同期に渡邉が「ブロッキングがうまく、肩も強くて、俊敏。かなわないと思った」と舌を巻く坂本がいたこともあり、主に一塁を守った。長打力を磨いて3年時からは4番に定着。今春までは社会人野球に進むことも考えていたものの、春のリーグ戦で最多本塁打賞、最多打点賞など個人4冠を獲得するとその後もアピールを続けて、プロ志望を固めた。
ドラフト会議当日は4位で名前を呼ばれ、「こんなに高い順位で呼ばれると思っていなかったのでびっくりした」。指名の瞬間は驚いたような表情も見せつつ、仲間とともに喜びを爆発させた。
指名後の記者会見では「打率も残せてホームランも打てるような選手になりたい」と宣言。「具体的に目標としている選手」を問われ「岡本 和真選手(巨人)や牧 秀悟選手(DeNA)…」と答えたのち、「間違えました。新井(貴浩)監督のようなバッターになりたいです」と“訂正”するお茶目な一面ものぞかせた。
打撃については「今は自分の有利なカウントで難しい球や張っていない球に手を出してしまうことがあるのでなくしていきたい。張っていない球をきれいに打ち返す技術も身につけたい」と自己分析しており、プロの世界では明確になっている課題と向き合いさらなる成長を期す。
一方、守備位置については「言われたポジションをやる」と前置きした上で、「肩に自信があるので外野や三塁にも挑戦してみたい」と話す。外野は小学生の頃、三塁は今夏に少し取り組んだ程度だが、捕手として鍛えた強肩はどのポジションでも生かせそうだ。
またチームメイトの佐藤 柳之介投手(4年=東陵)が同じ広島から2位指名を受けたため、「同じチームの選手がいるのは心強い。いつかバッテリーを組むことがあればいいな」とも思い描いている。
「みんなと一日でも長く野球をして、日本一を獲るのが目標」と渡邉。伸び代十分の長距離砲は、プロの世界へ飛び込む前に神宮でもう一暴れするつもりだ。