<秋季東海地区大会:大垣日大7―6岐阜第一>26日◇準決勝◇静岡草薙総合運動公園野球場
秋季東海地区大会準決勝の2試合目は岐阜県勢同士の対決となった。県大会準決勝でも対戦したが、この時は大垣日大が6対0と岐阜第一に快勝している。そして、大垣日大はそのままの勢いで、決勝でも中京を3対2で下して優勝。1位校としての東海大会出場となった。
シード校として迎えた東海大会では2回戦で、愛知県2位校ながら今大会優勝候補にも挙げられていた中京大中京に初回に2点先取されながらも、3回に追いつき、そのまま1年生の谷之口 翔琉投手が延長まで辛抱した。そして、タイブレークでは、スクイズをきっちりと決めるという手堅い戦いぶりで勝ち上がった。
岐阜第一は3位決定戦で夏の代表校の岐阜城北を4対3で振り切っての3位校としての東海大会進出。1回戦では夏の静岡代表で今大会は2位校として出場した掛川西に、そして2回戦では三重県1位校の海星にいずれもコールド勝ちして勢いに乗っている。岐阜第一としても、県大会のリベンジを果たして、2001年の第73回大会以来のセンバツを確定したいという思いも強いであろう。
センバツの選考での地域性を考慮すると、3枠の東海代表に岐阜県勢2校というのはなかなか難しい。それだけに、どちらも負けられない戦いだ。
県大会では抑えられた谷之口 翔琉投手に対して、岐阜第一の先制攻撃は鮮やかだった。二死から死球の走者を暴投で進めると、エースで4番の水野 匠登投手(2年)が巧みに中前へはじき返して先制。
さらに2回には珍しく制球に苦しむ谷之口投手に対して二死満塁から、2番三神 陽人選手(2年)が一掃の左越二塁打を放つ。さらに3番永安 弘和捕手(2年)が繋ぎ、失策もあってもう1点が入る。これで、序盤の主導権は完全に岐阜第一が握った。大垣日大は3回一死満塁という場面から、谷之口投手を外野に下げて、右腕の中野 翔真投手(2年)を投入して何とか凌いでいった。
ところが大垣日大も3回、失策とバント安打などで好機を作り一死二三塁としてクリーンアップ。貝原 大馳選手(2年)、西河 遥人捕手(2年)の連打に内野ゴロでこの回3点を返す。さらに4回にも失策からチャンスを作って2番山﨑 智貴選手(2年)のタイムリーで1点差。試合は分からなくなる。
そして5回、大垣日大は一死二三塁という場面で7番に入っていたリリーフの中野投手が中越二塁打して、これが逆転打となった。まさに、中野選手の思いのこもった一振が外野手の頭上を越えていったと言っていいであろう。このリードが試合の流れを変え、中野選手は、投打のヒーローとなった。
大垣日大は6回にも一死一塁で3番貝原選手の二塁打でもう1点追加する。9回にピンチを迎えて1点を失うので、結果としては、この一打が決勝打ということになった。値千金の一打だった。
岐阜第一は9回、失策からチャンスを広げて、二死満塁として押し出しで1点を返し、なおも満塁で一打逆転という場面まで追い詰めた。しかし、最後は中野投手が踏ん張ってしぶとい上農 奎人選手(2年)を仕留めた。
大垣日大の高橋 正明監督は、「序盤で5点を取られた時には、もう開き直っていました。お互いに力の差はない相手だと思っていましたから、県大会では快勝していたとはいえ、わかりませんからね。20年間阪口(慶三)先生とやってきて、攻めるところは思い切って攻めるとか、待つところは待つとか、そういうところは学んできたと思います。それが、こんな苦しいゲームを何とかものにすることができたのかなとも思います」と、名将阪口野球の継承も公言していた。
岐阜第一の田所孝二監督は、「先制して、逃げきっていく試合はどちらかというと得意なんやけれどもなぁ。水野クラスの投手がいて、それが出来なかったのは、やはり悔いの残る敗戦となった」と、悔しがっていた。岐阜第一としては、大事な場面で失策によって走者を許してしまったことが、失点につながっていったことも悔やまれる試合だった。