<秋季東海地区大会:常葉大菊川5―4至学館>26日◇準決勝戦◇静岡草薙総合運動公園野球場

 来春の第97回センバツ高校野球大会の出場の代表校選考に重要な資料となる東海地区大会もベスト4激突の準決勝となった。東海地区の出場枠が、昨年度から1校増え3枠となっている。あと1勝で甲子園に手が届く。しかし、一方では4分の1の確率で甲子園を逃すことにもなる。ということで、やはり、ここでの戦いは、勝ち負けはもちろんのこと、その戦った内容も大事になってくる。

今年の主管県の静岡1位の常葉大菊川と愛知1位の至学館との試合。

常葉大菊川は県大会では、初戦で静岡に8対0でコールド勝ちして勢いをつけて、その後は安定した戦いで東海大静岡翔洋や今夏の代表校掛川西を下して優勝。今大会初戦では岐阜県2位校の中京を振り切ってのベスト4進出となった。

至学館は、愛知県大会ではダークホース的立場として見られていた。それでも、3回戦で愛知啓成、準々決勝で中部大春日丘にいずれも2対1と競り勝ち、準決勝では名古屋たちばなに2対0。決勝では今夏の代表校の中京大中京に5対3と、競り合いを制しての進出だった。

そして、東海大会でも聖隷クリストファーに対して初回に奪った2点を尾﨑 陽真投手(1年)が守り切っての進出である。機動力を生かした攻撃は伝統といってもいいくらいに定着してきているが、このチームはロースコアゲームをしっかりと守り切っていかれるディフェンス力の高いチームでもある。

積極的にファーストストライクから狙ってくる常葉大菊川打線に対して、至学館がどんな対応をしていくのかが見どころだった。

この日の常葉大菊川は、チームの大黒柱でもあるリードオフマンの橘木 千空主将(2年)が高熱による体調不良で欠場。さらには2番の小川 優人(1年)選手もケガで戦列を離れるという苦しい布陣での戦いを余儀なくされた。

そこを至学館が巧みに突いていく形で、初回に3点を奪う。先頭の武藤 駿輝選手(1年)から3連打であっさりと先制。さらにバント攻勢でスクイズで2点目。なおも6番松本 尚也選手(2年)も中前へ落してこの回3点。2回にも二死二塁から相手失策でさらに追加点。ここまでは完全に至学館が主導権を握る試合となった。

至学館の尾﨑投手は上手に相手を見ながら投げるタイミングなどをずらしていくテクニックがある。こうして常葉大菊川打線を抑えていたのだが、4回に常葉大菊川はこの日スタメン出場していた青木 統眞選手(2年)が右前へ落して1点を返していた。

そして6回にはクリーンアップの3連打で追い上げ、7番町田 稔樹捕手(2年)の左前打で同点に追いついた。

7回、常葉大菊川が二死二塁という場面で3番佐藤 大加良選手(2年)が左翼線二塁打して結果的にこれが決勝点となった。

常葉大菊川の左腕・大村 昂輝(2年)投手は、3回以降は立ち直って、本来の投球となり、終わってみたら9安打はされたものの序盤の失点のみで、3回以降は0に抑えていた。9回は無死で連打となりバントと申告敬遠で一死満塁となったが、最後は内野飛球と内野ゴロに打ち取り、石岡 諒哉監督としては申告敬遠の策も当たった形となった。

石岡監督は、「ここまでチームを引っ張っていっていた橘木がいないというのは、厳しい状況だったが、全員でカバーしていこうという意識で戦った。主将代行となった佐藤大加良がいいところで打って、思いを示してくれたと思う。大村は、味方に点を貰ってから、投球もよくなった」と、振り返っていた。

 至学館の鈴木健介監督は「県大会から、ずっといい形で戦えて来ていたけれども、そうではない時に負けたということは、やはり力不足。だけど、ここまで来られたことは、やってきたことは間違いではないと言える。もっと練習して、さらに上を目指していきたい」と、前を向いていく姿勢は崩していなかった。