<第77回秋季関東地区高等学校野球大会:健大高崎9-0霞ヶ浦(7回コールド勝ち)> ◇27日 ◇1回戦◇等々力球場

 センバツ連覇を狙う健大高崎は昨年から野手が大きく入れ替わったが、それでも攻撃力の高さは健在で、関東大会初戦は夏甲子園出場の霞ヶ浦に9対0の7回コールド勝ち。投手陣も世代屈指の剛腕・石垣 元気投手(2年)を温存しながら、7回無失点と強さを発揮していた。

 投手陣で成長が著しいのが大型左腕・下重 賢慎投手(2年)だ。182センチ85キロという恵まれた体格をしており、デビューした春季大会と比べると体つきががっしりしてきた。

 左スリークォーター気味のフォームから繰り出すストレートは常時135キロ〜140キロで、これまでの最速は142キロだったが、この試合で最速145キロを計測した。明らかに球威が増しており、クロス気味に入るので、かなり打ちにくさがある。夏からワンランク成長しており、ドラフト候補としてスカウトからチェックされるほどの投手になった。ボールの圧力としては、チームメイトの佐藤 龍月投手(2年)の故障前よりも上だ。

 ストレートの球速が速くなってもコントロールの良さは健在で、5回まで四球は1。球数は68と、テンポ良く打者を抑えることができていた。

 球速アップのきっかけは夏の甲子園だ。群馬大会の藤岡北戦では10者連続三振を記録するなど、県内では圧倒したが、甲子園初戦の英明戦で4回途中まで70球を要し、思い通りの投球ができずに石垣につなぐ形となってしまった。

「ヤマを張られてしまうと、打たれてしまいます。そこからヤマを張られても、打ち返せないほどの速いストレートを投げる必要があると思いました」

 そこから体作りに励み、フォーム作りでも、軸足である左足にしっかりと体重を乗せることを意識し、上半身が突っ込まずに、強く左腕を振り下ろすフォームに変えたことで球威向上に成功した。

 石垣と左肘の手術を受けた佐藤の2人については「一段階、二段階も上の投手。追いついたと思ってもすぐに離される。やはり超えないといけない存在だと思います。石垣は絶対的なエースといわれているんですけど、自分は負けていられない」と闘志を燃やす。

 甲子園では悔しい結果に終わったが、大舞台を経験したことで「以前よりも緊張せずに投げられるようになった」と精神面の成長を感じている。この日は7割ほどの力で投げて、走者が出た時は全力で投げるストレートでねじ伏せる投球が光った。

「プロへの憧れはありますが、狙えるほどの力と結果は残せていない。まずは個人よりも、来年のセンバツに向けて、勝利に貢献する投球をするだけです」

 青柳 博文監督は「順調にきています。彼の場合、失速することなく、緩やかに伸びてきています」と高評価。これからも厳しい場面で登板して勝利に貢献できる投球ができるか注目だ。