<秋季関東地区高校野球大会:山梨学院6-5東海大相模>◇27日◇1回戦◇サーティーフォー保土ヶ谷球場

 山梨学院に楽しみな二刀流が現れた。菰田 陽生投手(1年)だ。

 1年生ながら194センチ97キロの恵まれた体格を持つ。小学生から175センチあったという長身右腕は、取材時に思わず見上げてしまうほどインパクトのある選手だ。

 兄は昨年まで拓大紅陵でプレーし、50m5.7秒の快足でプロ注目の存在だった菰田 朝陽外野手(現・上武大)。山梨学院に入学してからは「十分に体を作ってから登板させたかった」と吉田洸二監督が話すように、体作りに時間を割いた。秋の山梨大会で満を持してデビューを果たすと、公式戦初登板初先発となった2回戦では3回を投げて無失点。その後は準決勝、決勝で終盤のイニングを任され好救援を続け、「試合を重ねるごとにストレートのキレも良くなっていきました」と、公式戦を経験しながら確かな成長と信頼を掴み取ってきた。

 この日も、2点差でリードして迎えた8回から登板。最速143キロを誇る直球を軸にスライダーも交えながら東海大相模打線を1回無失点に抑えた。しかし、9回も続けてマウンドに上がると、先頭の福田 拓翔投手(2年)に安打を許したところから状況が一変する。続く打者は高校に入って習得したフォークが抜けて死球となり、犠打で送られて一死二、三塁と一打同点の窮地に。その後は甲子園でも巧みな打撃センスを見せつけた好打者・中村 龍之介を外野フライに打ち取ると、前の打席で適時打を放っている金本 貫汰内野手(2年)を故意四球で歩かせて二死満塁までこぎつけた。しかし、粘る東海大相模の勢いを止められず、四球と適時打で同点を許してしまう。それでも「同点で切ることができたことはよかった」と続くバッターを三球三振に切って逆転を許さなかった。

 一方、打撃でも8回裏に立った打席で光るものを見せた。「2アウトランナー無しの状況だったので、本塁打を狙っていました」と、東海大相模のプロ注目右腕・福田が投じた142キロの直球を強く叩いた。強烈な打球はぐんぐんと伸び、中堅手の頭を越える二塁打となった。吉田監督も「チームで一番ホームランを打つんですけど、当たったり当たらなかったりで…」と課題も提示したが、秘めたるパワーを好投手相手にも証明して見せた。

 「理想は二刀流で活躍すること」としながらも、まずは投手として出場機会を増やす予定だ。4年連続のセンバツ大会出場へ、この秋から加わった新戦力が投打で勢いをもたらしている。