<秋季東京都高校野球大会:淑徳7-6明大八王子>27日◇準々決勝◇スリーボンドスタジアム八王子
低反発バット時代の打撃戦というべきなのか。長打は明大八王子の村田 晃毅捕手(2年)の1本だけ。安打数は明大八王子の12本に対して淑徳は10本。それに四死球に失策、犠打を絡めて点を取り合う打撃戦になった。
1回裏に淑徳が3番・森本 一寛外野手(2年)の左犠飛で1点を先制すると、2回表に明大八王子は、一、二塁からの重盗が、相手のエラーを誘い同点に追いつく。
すると3回裏に淑徳は前の打席で犠飛の3番・森本が今度はスクイズを決め、勝ち越す。4回表に明大八王子は村田が、この試合唯一の長打となる三塁打を放ち点に追いついたが、その裏淑徳が8番・大谷 凌駕内野手(2年)の右犠飛で再度勝ち越した。ただ双方、四死球もあって、絶えず塁をにぎわす割に得点が入らない。
試合が大きく動いたのは7回の表裏だった。7回表の明大八王子は、安打は内野安打の1本だけだが、失策、四死球、野選があって、押し出しの得点も含めて3点を入れて一挙に逆転する。しかしなおも続く二死満塁のチャンスで、この試合三塁打を打っている村田がセンターに大きな打球を打ったが、淑徳の中堅手・岩橋 和志(1年)が背走し、好捕する。抜ければ3人の走者が還って、試合が決まるところであった。「岩橋は、守備の勘がいい選手です」と淑徳の中倉 祐一監督は語る。
その裏淑徳は、明大八王子のサブマリン投手・上原 和玖(2年)を攻め、1番・高見 聡士朗外野手(2年)の右前適時打で1点を返し、なおも一死満塁のチャンスが続く。そこでこの試合は犠飛と犠打で打点2を挙げている3番・森本が今度は右犠飛で同点に追いつく。なおも続く二死一、三塁のチャンスで淑徳は主将で4番打者の下居 優斗捕手(2年)が打席に入る。「打率は良くないけれども、4番にしてもらっている。ここで決めるという気持ちで打ちました」と語る下居は、適時左前安打を放ち、1点を勝ち越した。さらにワイルドピッチがあり、淑徳が7-5と2点をリードする。
リードした淑徳は、8回表から先発の八重尾 蓮(2年)に代わり、横手投げの照井悠麒(2年)をマウンドに送る。八重尾も照井も夏の大会で投げている。そして明大八王子も9回表の攻撃で意地をみせる。二死一塁から6番・入江 峻輔内野手(2年)の右前安打で一、二塁とする。この試合2本のバント安打を決めている7番・佐野 孝太外野手(2年)がまたもバント安打を決める。それに相手の失策も重なり、二塁走者が生還して、1点差に迫る。しかし一塁走者が二、三塁間で挟まれアウトになり、試合終了。淑徳が7-6の激戦で明大八王子を破り、準決勝進出を決めた。試合終了後、淑徳の校歌が流れた。試合終了後、校歌が流されるのは、東京では準々決勝からだ。主将の下居は校歌を歌い、「グッとくるものがありました」と語る。
淑徳はこの夏の東東京大会で準々決勝に進出している。八重尾、照井―下居のバッテリーも夏を経験している。彼らはまた、2021年の夏に淑徳が8強に進出したのをみて入学している。その一方で淑徳にとって、準々決勝から先が大きな壁になっていた。この試合では、壁を突破する執念が、接戦を物にする要因になったのかもしれない。準決勝進出は、淑徳野球部にとって大きな前進だ。夏は準々決勝で帝京に敗れている淑徳は、秋は準決勝で早稲田実と対戦する。「帝京戦の時は、こちらが構えすぎてしまいました」と淑徳の中倉監督は言う。伝統校相手にいかに挑むのか。淑徳の戦いが注目される。