全国常連になりつつあるクラーク、各系列でプロ野球選手が誕生しているウェルネス
エナジックスポーツをはじめとして、現在の高校野球には甲子園を目指す通信制高校がいくつかある。昨年、春夏連続出場をはたした北海道のクラーク国際もその一つだ。 これまで春2回、夏2回の甲子園出場実績を誇っている。
クラーク国際は1992年に開校して全国にキャンパスを所有している。キャンパスごとに生徒の個性を尊重していくという方針で、不登校の生徒なども幅広く受け入れるなどと、様々な取り組みを行っている。
野球部は2014年、甲子園出場を目指して深川キャンパスに創部された。駒大岩見沢を率いて甲子園に12回出場した佐々木啓司監督を招聘。早くも2年後の夏に北北海道大会を制して甲子園出場をはたした。その後も、北海道内では強豪校として上位の常連である。今夏も決勝進出を果たしたが、白樺学園に敗れて3度目の甲子園出場は逃しているが、十分に存在感は示した。同校の仙台キャンパスには女子硬式野球部があり、全国大会にも出場するなど、女子として硬式野球に力を入れている。
学校法人タイケン学園が母体の日本ウェルネス東京も通信制高校で、東東京大会に出場している。2023年には5回戦進出を果たすなど着実に力をつけている。同校OBには2020年西武1位の渡部 健人内野手がいる。
全国各地に系列校があり、日本ウェルネス茨城が、この夏の茨城県大会夏3回戦まで進出している。宮城県の東松島市には日本ウェルネス宮城があり、昨年、長身投手の大内 誠弥投手が楽天7位指名を受け、初のプロ野球選手を誕生させている。沖縄にも日本ウェルネス沖縄があり、20年春の県大会でベスト4入りしてからは県内上位の常連だ。23年夏は準優勝、今年もベスト4入りし、昨年はワォーターズ璃海ジュミル内野手が楽天から4位指名を受けた。長野では日本ウェルネス長野が活動し、甲子園14勝の中原英孝氏が23年まで監督をしていた。赤羽 由紘内野手(ヤクルト)は同校OBである。
通信制高校の躍進は続く!?
長野県といえば、実は通信制校として初の甲子園出場校がある。2012年センバツ出場を果たした地球環境である。2003年に開校した同校は、部活動も積極的に行う方針で甲子園の切符を摑み取った。この夏は、塩尻志学館に初戦で敗退している。
エナジック、ウェルネスなど通信制の学校が躍進している沖縄県のKBC(旧未来沖縄)にも通信制があり、2018年には宜保 翔内野手(オリックス)がエースとして活躍し、春の県大会で優勝し、九州大会に出場。近年も上位進出を繰り広げている。
1世紀以上の長い歴史を有する高校野球も大正~昭和~平成~令和と時代を経ていく中で、少しずつ形を変えている。通信制をベースとした学校の台頭なども、そうした高校野球の新しい動きの中の一つと言ってもいいであろう。今後も「えっ? これはどんな学校なんだ…?」というような、新たなスタイルの学校が登場してくるだろう。高校野球の歴史はさらに重ねられていく。