<阪神大学野球連盟 入替戦:関西国際大6-5大阪電気通信大(延長10回)>28日◇3回戦◇南港中央野球場

 1勝1敗で迎えた入替戦の3戦目。関西国際大(1部6位)が延長10回の末に大阪電気通信大(2部1位)をサヨナラ勝ちで下して1部残留を決めた。

 2023年WBC優勝メンバーの大勢(巨人)や2度のセーブ王に輝いた益田 直也(ロッテ)などを輩出し、過去には全国大会4強入りの実績もある関西国際大。しかし、今季は4度の完封負けと得点力不足に悩み、2勝8敗で最下位に沈んだ。

 2005年春に1部初昇格を果たしてから一度も2部に落ちることはなかったが、今回の入替戦は黒星スタート。初めて降格の危機に立たされた。

 雌雄を決する3回戦は8回表を終えて1対3と劣勢の展開。チームのピンチを救ったのは4番DHのルーキー・平田 圭吾(中京)だった。

 8回裏、二死二、三塁と一打同点のチャンスで打席が回ると、左中間を破る2点適時二塁打を放ち、試合を振り出しに戻す。

 試合は3対3の同点で延長戦へ。10回からは無死一、二塁でスタートするタイブレークでの戦いとなり、大阪電気通信大は10回表に2点を勝ち越す。対する関西国際大は二死満塁から3番・松本 紘弥(3年=星城)の2点左前適時打で同点。なおも一、三塁と一打サヨナラ勝ちのチャンスで平田に打席が回ってきた。

「初球からいってやろうと思っていました」と初球を捉えると、打球は三遊間を破って左前へ。劇的なサヨナラ勝ちで関西国際大が1部残留を勝ち取った。

 平田が今秋のリーグ戦でスタメン出場したのは1試合だけ。入替戦も2回戦まではスタメンを外れていたが、「確率が高くて、バッティング練習から打ち損じが少ない。バッティング技術が高い」と鈴木 英之監督は大一番で4番に抜擢。この采配が大当たりとなった。

「この試合で1部残留かどうかが決まるので、緊張していたんですけど、試合に入ったら、試合に集中していました」と平田。サヨナラ打の打球は少し詰まっていたそうだが、執念で外野へと運んだ。

 チームにとっても平田にとっても大きな1戦となった。「来年はレギュラーを取り、チームを勝たせられるような主軸を打てるバッターになって、神宮にこのチームでいけるように頑張っていきたいです」と意気込む。待望の中軸候補がついに現れた。

「今日の8~10回は良いように考えると、かけがえのない経験。これを乗り越えたことをある意味、自信にしてもらえたら」と鈴木監督。藤本 拓己(2年=尼崎北)や寺井 恵太(2年=西脇工)、中川 大雅(3年=箕島)など左の好投手を多数抱えており、来年は優勝争いに加わってもおかしくない。苦しみながらも価値のある残留となった。


10回裏にサヨナラ打を放った関西国際大の平田 圭吾