昨秋からこの夏の公式戦まですべて爪痕を残した
その中でモイセエフが指名されたのは、まず順調に成長し続けた点にある。
脚光を浴びたのは昨秋だ。東海大会で16打数10安打、1本塁打5打点と大当たり。しかも三振は0だった。神宮大会では5打数3安打で、弾道の高い本塁打を打った。結果、内容ともに申し分なかった。
そしてセンバツでは本塁打が激減した中で新基準バット第1号本塁打。しかしモイセエフは1本塁打を打ったことよりも3三振したことを反省し、打撃フォームを変更。もともと頭より上にあったトップの位置をセンバツ後から頭より下がった位置にし、よりシンプルな構えになった。その結果、春季県大会では、13打数9安打の好成績を収めた。結局、昨秋から春の県大会まで打率6割超えで、不調だった大会がなかった。
最後の夏の大会では勝負を避けられる場面が多く、5回戦敗退で、7打数3安打に終わったが、5四球。出塁率は.667だった。これを見ても高いコンタクト力の高さがうかがえる。豊川の長谷川裕記監督は「夏になって打席内で我慢ができている」と評価していた。
守備に対する意識も高く、神宮大会ではフェンスにボールを投げて跳ね返りを確認したり、バックホームを見るとなかなかの強肩で、走塁意識も高い。
同じスラッガーだった正林は甲子園で21打数3安打、5三振。鹿児島大会では打率.450だったとはいえ、甲子園の印象が悪すぎた。一方、どの大会でも安定した成績を収めたモイセエフは、高校生外野手の中で一歩抜けた存在となった。
しかし、ドラフト2位の評価を得るには、上述したように大学生・独立リーガーのライバルも多かった。彼らを上回る評価を得たのは、モイセエフの打撃練習の内容、フィジカル面、総合力が高く評価されたと考える。
モイセエフの打撃フォーム