2025年のドラフト戦線を追っていくと、「公立校投手の豊作年」になりそうだ。秋の時点で常時140キロ以上、強豪校を苦しめるほどの投球術を持った投手が多く、ワクワクさせられる1年が期待される。
まず金足農の吉田 大輝投手。吉田 輝星投手(オリックス)の弟として、兄と同じく甲子園の土を踏んだ。秋田大会では登板した5試合で37回を投げ、7失点、防御率0.97と甲子園出場の原動力となった。甲子園では初戦敗退となったが、伸びのある140キロ台中盤の速球はやはりモノが違う。各地方大会に出場している公立校の投手を見ても、吉田ほどの投手はいない。25年世代の公立校NO.1右腕ではないか。
吉田に続く右腕としては、松延 響投手(鳥栖工)がいる。1年夏に甲子園に出場して、いきなり140キロ台前半の速球、切れ味鋭い変化球を投げ込んで、騒がせた逸材は順調にレベルアップし、先発完投型の投手へ成長した。この秋は県大会で敗退してしまい、甲子園に出場できるチャンスは夏のみとなったが、さらにパワーアップした投球を期待したい。
同じ佐賀県では林 龍之介投手(嬉野)がいる。187センチの長身から最速144キロの速球を投げ込み、変化球の精度も高い。この夏は佐賀大会ベスト8、秋もベスト16入りと県内でも実績を残しつつある。近年、高身長投手の指名が相次いでいる現状を考えると、プロ向きの素材だ。この1年間で、さらに球速アップに成功して、内容の良い投球を試合で実践し続ければ、多数の球団からマークされる存在になるだろう。
大崎(長崎)の右腕・前川 響投手は秋季県大会で最速146キロを計測。鋭い腕の振りから繰り出すストレート、カットボールも冴えわたる。
左腕では芹澤 大地投手(高蔵寺)が人気になりそうだ。愛知県春日井市にある進学校から突如誕生した大型左腕で、182センチ67キロと長身から躍動感のある投球フォームから最速147キロを計測する。秋季愛知県大会初戦の桜丘戦では6回10奪三振、無失点と圧巻の投球。降板直後、後続の投手が打たれて逆転負けを喫したが、その後の地区予選でも敵なしの投球を見せており、来春は地区大会から熱視線になることは間違いない。
西条の宇佐美 球児投手はこの夏の愛媛大会で準優勝を経験。パワフルな腕の振りから140キロ台前半の速球、スライダーを投げ分ける左の本格派で、今年の四国を代表する投手だ。県大会で敗れたが、しっかりと地力をつけて、勝てる投球を見せていきたい。
神奈川を代表する公立校左腕・濱岡 蒼太投手(川和)はテクニックに長けた好左腕だ。常時130キロ台中盤で最速は130キロ台後半だが、手元で威力があり、詰まらせる投球を得意とする。変化球も多彩で、スライダー、カーブ、チェンジアップが低めに決まり、3回戦の東海大相模戦では8回まで1失点に抑える好投で、最後まで追い詰める投球だった。牽制、クイックも巧みで、激戦区・神奈川で勝ち抜くためにスキルが高い。さらに球速アップすれば、ドラフト候補としての評価も高くなるのではないか。
投手は冬のトレーニングで急激に球速アップを遂げることがある。新たにドラフト戦線に加わる公立校の投手が浮上するのか、注目していきたい。