「突破口を開くため」、期待と伝統を背負える強さを追求する!
ただ、戦績は厳しい。2013年のセンバツに出場したのを最後に、聖地から離れている。夏の甲子園に限っては1923年に出場したのが最後。101年の期間が空いている。
この1年の戦績に絞って振り返っても、春の県大会で準優勝して32年ぶりに春の関東大会出場。夏はベスト8進出。新チームとなった秋の県大会は3回戦敗退。甲子園出場までの道のりは遠い。だが、決して手の届かないところではない立ち位置だろう。むしろ、この1年の流れが続けばチャンスは来るだろう。
「春とはいえ、決勝戦を経験できたのは大きいですよ。決勝まで勝ち残れるチャンス自体が貴重ですし、夏までの期間中、『勝つためにどうする。何が足りない』っていう会話をしても、当時は理解が早かった。決勝の景色を知っているから、全て説明しなくても伝わる部分が多かった」
代表的なのはフィジカル強化だ。関東大会に出場した際、「とにかく凄かった」という帝京の体格を見て、「突破口を開くためにはそこですし、プレースピードも絶対に違う」ということから、チーム全体が徹底して取り組んでいる。
先輩たちの世代からベンチ入りをしていた末永主将も、フィジカル強化の重要性を肌で感じている。
「体が細いことが毎年課題だったので、先輩たちは1人1人目標体重を設定して、体重を増やすトレーニングをしました。そのおかげでチーム平均8キロの体重増加で結果を出しているので、今年もしっかりやりたいと思っています」
佐藤に話を聞いても、「ウエイトや体重の数字が上がって、夏場に減量せずにいけたので、『強くなった』と感じることが多かった」と手ごたえがあるようだ。成功体験があるからこそ、「この冬に取り組むことはすぐ決まりました」と末永主将同様に、チーム全体で取り組んで、スキルアップしていく覚悟は即座に決まったようだ。
今年はトレーニングだけの練習日を設定して、徹底した体づくりに注力する予定だという。「新しい取り組みになりますけど、本当にフィジカルは絶対ですから」と改めて重要性を訴えた。
100年を超える伝統。その歴史の重みはかなりのものだろう。それを背負って戦うための覚悟、そして甲子園に行くためにも、心身共に鍛えることが必要不可欠だ。大会で勝つため、そして周囲の期待、伝統を背負える強さが揃ったとき、宇都宮商の甲子園出場が叶うはずだ。
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