10日、慶応義塾大の清原 正吾内野手(4年=慶応)が早慶戦で大学野球人生に終止符を打った。

 NPB通算525本塁打を放った清原 和博氏を父に持ち、中学・高校と野球から離れていながら、慶応義塾大の4番を務めあげたことから、瞬く間に注目の存在へと駆け上がったが、結局、今秋のドラフトでは名前が呼ばれることはなかった。独立リーグをはじめとした多くの球団が獲得を表明しているが、今後の進路については「明日以降自分と見つめ合って考えたい」と話すにとどめている。

 引退か、それとも野球の継続か。人生の岐路に立つ22歳について早慶戦から2日後、とある慶大OBに取材を行った。

“清原君”だからこそ指名して欲しかった

「彼の気持ちが分かるのはこの人しかいない」。そう思って話を聞いたのが谷田 成吾氏だ。慶応時代に76本塁打を放ち、慶応義塾大進学後も4番として腕を鳴らしたスラッガーだったがドラフトではまさかの指名漏れ。社会人の強豪ENEOSに進むと、社会人日本代表でも4番を任されたが、またしてもNPBとは縁がなく、独立リーグを経て2018年に引退している。

 谷田氏は清原の指名漏れについて、自身の経験と交えながらこう分析する。

「実力はあると思います。しかし、指名選手はドラ1クラスでなければ、球団が求める部分との兼ね合いなってくるんです。自分も独立時代には『ここの球団はこのポジションが足りない』と考えながらプレーしていましたけど、清原君は一塁手で枠も狭まります。守備位置と需要がマッチしなかったのかなと思います」

 一塁手は他のポジションに比べて助っ人野手の獲得で補うことも多く、ロッテ1位指名の青山学院大・西川 史礁外野手(龍谷大平安)ら、今秋ドラフトで指名された大砲候補のほとんどが外野手や三塁手を兼ねることの出来る選手だったことも違いの一つと考えられる。

 それでも谷田氏はドラフトで清原を指名すべきだったと言う。

「指名されて欲しかった気持ちはあります。野球界を考えたら盛り上がること間違いないので。『いいポジションだから指名する』と同じ感覚で『清原君だから指名する』という球団があっても良かったと思う」

「25歳で野球を辞めると決めていた」独立リーグ挑戦にあった覚悟

1 2