今年のドラフトでは、日本ハムドラフト1位の柴田 獅子投手(福岡大大濠)、2位の藤田 琉生投手(東海大相模)、阪神2位の今朝丸 裕喜投手(報徳学園)を筆頭に185センチ以上の長身投手の名前が読み上げられた。指名された高校生投手32名中、185センチ以上の投手が16名もいた。そして、今年、埼玉県にスカウトが好みそうなビッグサイズの投手がいる。
それが昌平の大型右腕・東川 一真投手(2年)だ。身長は191センチ、体重100キロ。恵まれた体格は、マウンドに立つと際立つ。同校は1年生から活躍しているスラッガー・櫻井 ユウヤ内野手(2年)が注目されているが、昨今のドラフト市場を考えると東川も人気になるかもしれない。11月23日、24日に開催される埼玉県の東部選抜にも選出され、期待も大きい東川。そんな彼を紹介したい。
実戦デビューは2年春の県大会決勝の花咲徳栄戦。3回まで投げて被安打7、5失点と苦しい投球に終わった。夏はベンチを外れ、そこから社会人・きらやか銀行まで左腕投手として活躍した小林 弘明部長、トレーナーの助言を仰ぎながら、投球フォームを固めてきた。
秋には背番号11でベンチ入りした東川は、秋季埼玉県大会の狭山ヶ丘戦(9月23日)で先発登板。春と比べると安定感があった。
セットポジションから始動し、ゆったりと左足を上げたあと、軸足である右足にしっかりと体重を乗せて、リリースに入る。やや制球が粗いのが課題だったが、力みがない投球フォームだった。これまでは豪快なフォームで投げていたが、しっかりとストライクを取ることを重視して、現在のフォームにいきついたという。
190センチの長身ながら、腕の位置を少し下げて投げる姿はオリックスで226試合登板、18勝、55ホールドを挙げた吉田一将投手(台鋼ホークス)を彷彿とさせる。長身なので、多少腕の位置を下げても角度は感じる。
ストレートの球速は常時120キロ台後半〜137キロ程度で最速140キロを計測。指先にしっかりと力が伝わり、球威があり、ファウルで差し込むことができていた。東川自身、「ストレートの勢いはあり、調子はよかった」と語っていた。4回まで無安打無失点に抑えたが、5回表に初安打を打たれてから2失点を喫し逆転を許してしまった。
試合は3対2でリードしていたものの、9回表で逆転され、3回戦敗退が決まった。東川は「5回に打たれてしまい悔しいです」と振り返った。岩崎優一監督はエースになるための課題を語った。
「まだ簡単に失点してしまうところがあります。その傾向は秋の大会で見られました。この壁を乗り越えてほしいです」
ここまでの成長については、「本人の努力はもちろんですが、社会人まで投手をやっていた(小林)部長の指導が大きいと思います。僕は野手でしたので、投手については教えることができません。東川の成長は部長の指導の賜物だと思います」と小林部長の名前を挙げた。
今の東川の投球は成長過程だ。ストライクを取る感覚を掴んだので、これからはストレートの出力を高めて、試合を作るのが課題だ。
「来年は150キロを目指して取り組んでいきたいと思います」(東川)
ぜひ大化けして、多数のNPB球団から視察を受けるような投手になることを期待したい。それだけのポテンシャルの高さを秘めている。
<東川 一真(ひがしかわ・いっしん)>
右投げ右打ち 191センチ100キロ
目黒・中央中出身
世田谷西シニアでプレーし、ドラフト候補にも挙がる渡邉 颯人投手(智弁和歌山)とチームメイトだった。
2年春の県大会で背番号21でベンチ入り。
2年夏はベンチ外。
2年秋は背番号11でベンチ入り。