社会人野球で学んだ全力で取り組むこと

特にバントについては、取材日に15分間バント練習を設定して取り組んでいる様子があった。打席に立つ選手はもちろんだが、順番を待っている選手たちも後ろでタイミングを取ったり、仲間に指摘の声をかけたりと、真剣に取り組む姿が印象的だった。

「基本的な構えの部分とか、状況に応じた考え方も含めて、キチンと教え込んだ」という前田監督のこだわりぶりが選手たちに浸透しているのが十分伝わった。が、その背景には部長時代だけではなく、自身の現役時代の経験を踏まえて守備やバントを強化している。

前田監督は、社会人・九州三菱自動車(現KMGホールディングス)でプレーしていた実績の持ち主。当時の指揮官・稙田龍生監督(現創成館監督)のもとでプレーしており、「(バントの重要性は)感じましたね」と教わった部分も多かったという。

と同時に、何事にも全力で取り組むことの必要性を学んだ。

「全国に出場しましたけど、強いチームではなかったですし、当時は午前中に練習をやったら、午後から仕事に出ていました。他のチームとは少し違った形でしたので、反骨心はありましたし、負けん気はありました。そういう逃げるとか、気持ちで引くことがあると、エラーに繋がりますから。だからどんな相手にも勝負すれば、いい勝負が出来ることは伝えています」

だから、仕事に対しても真摯に向き合った。そのおかげもあり、「球場に来てもらったり、応援をしてもらえたりしたと思います」と前田監督は話しており、改めて取り組む姿勢の大切さを語った。

実際に、流通経済大柏ではメンタルトレーニングの一環で、本気朝礼と呼ばれる取り組みをやっている。「全力で取り組む姿勢を引き出す」ことを狙っている。前田監督の中では「まだまだなんですけど」と納得はしていないようだが、自身の経験を踏まえて、選手たちの姿勢を変えようとしている。

Aシード、そして初の甲子園へ

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