Aシード、そして初の甲子園へ
その姿勢という部分では、大石たちの世代は経験の浅いこともあり、新チーム発足時は物足りない部分があったそうだ。
「8月から練習試合を戦っていても、5試合くらい勝てなかったんです。経験値がないからか、特に野手陣が余裕なくて気がついたら点差を付けられるケースが多かったんです。
だから、選手同士でミーティングをやって『人任せ過ぎないか』みたいなことを話しました。まずは2年生が中心になるんだ、と自覚を持つこと。人任せになっている感覚だったので。そうしたら副主将から徐々にチーム全体が変わって。予選前に県外の強豪と対戦しても勝てるようになって、自信がついてきましたね」
守備のエラーが減り、バントの成功率も高まった。「自分たちのペースで試合がを進めて、勝ち切れる形が見えてきた」なかで、流通経済大柏は予選に入った。残念ながら成田には7対11で敗戦。「自滅してしまった」という悔やむものの、四球を出すなど敗因は明確になっていた。
だから「監督から『やるしかない、次から本当の勝負になってくる』という言葉で自覚を持って戦えた」と敗者復活戦からは勢いに乗った。
特に県大会の初戦では強豪・八千代松陰が相手だったが、「相手に関係なく自分たちのペースで試合を進められた」と8対3で勝利。この勝利で一気に勢いに乗り、「気がついたらベスト8でした」と秋の戦いぶりを大石主将は振り返った。
しかし、準々決勝では東京学館に0対5で敗戦。このときばかりは、「自分たちのテンポで試合を進められなかった」と振り返るように、大事にしてきた守備やバントでリズムを作れず、「そこで負けているので、まだ足りない」と語った。
春は「Aシード獲得、ベスト4以上は絶対です。そのうえでチーム初の夏の甲子園に出場して勝てるチームを作りたい」と大石主将は意気込みを語った。その目標に向かって挑戦をする立場であり、ベスト8として春はマークされる存在にもなる。ただその警戒に動じないような盤石な守備、そして手堅い野球を見せられれば、十分叶えられるだろう。
流通経済大柏の挑戦を、春以降も見届けていきたい。