1997年以来、27年ぶりの明治神宮大会優勝を収めた横浜。胴上げ投手となったのが奥村頼人投手だ。
1年秋から公式戦デビューしているが、伸び悩むことなく、146キロ左腕へ順調に成長した。土壇場でこそ力を発揮できる精神力の強さは名門校のエースと呼べる投手だ。
先発時は常時135キロ〜140キロと突出した球速ではないが、指先にしっかりと力が伝わったストレートは球速表示以上に伸び、勢いを感じる。空振りが奪える球質である。リリーフ時には140キロ中盤で押して圧倒できるなど、状況に応じて、力の入れ加減ができる。2学年上のエース・杉山 遥希投手(西武)と比較してもストレートの角度があり、順調にいけば、先発でも140キロ中盤を投げられる可能性を秘めている。
130キロ近い高速スライダー、130キロ中盤のカットボールでも空振りを奪うことができて、120キロ中盤のチェンジアップの精度も高い。伸びのあるストレートが投げられて、一定以上の変化球の精度を持った速球派左腕は全国的に見てもなかなかいない。投げるボールが凄いだけではなく、打者のペースにさせないように間合いを外したり、牽制を巧みに入れたりと、細かい技術も鍛えられている。
投手としてスケールがあり、常時140キロ台の直球を投げられる馬力もある。変化球の精度も一定のものがあり、ピンチになっても動じずに投げることができる精神力の強さ、制球力の高さは一級品だ。2学年上でプロ入りした杉山の2年秋と比べても上回っている。過去にプロ入りした横浜の左腕の中では一番バランスが取れている投手ではないかと思っている。
奥村の場合、プロの過酷な生存競争を勝ち抜けそうなメンタルと基礎体力の高さを感じる。今持っている器を最後の夏までどう引き上げることができるか。順調にいけば、来年のドラフト上位候補に挙がる可能性を持っている。