対戦校の強力打線対策を突破できず…センバツ覇者の健大高崎は“まさかの貧打”に泣く

大会8日目2回戦 智辯学園(奈良)2-1健大高崎(群馬)

 センバツ覇者の健大高崎が智辯学園の田近 楓雅投手(3年)を攻略できず、逆転負けを喫した。甲子園では2試合18イニングでわずか2得点。出場校屈指の強力打線は沈黙した。

 そもそも群馬大会では7本塁打を記録。各打者のスイングは非常に鋭く、力強い打球を放っていた。攻略してきた投手のレベルも高かった。なぜ甲子園では打てなかったのか。

 対戦校は強力打線への対策を十分にとっていた。初戦で対戦した英明の清家 準投手(3年)も、智辯学園の田近もともに、低めの変化球を有効に使い、制球力も優れていた。守備陣も長打力のある打者たちに備えて、外野は深く守っていた。

 健大高崎の青柳博文監督は「警戒されるのは分かっていたこと。うまく対策ができなかった。選手たちの力を発揮できなかった我々の責任です」と語った。もうひとつ青柳監督が悔やんだのは9回表の守り。先頭打者に四球を与え、嫌な流れだったが、一死一、二塁のピンチで捕手前の打球を箱山 遥人捕手(3年)がジャンピングスローでフォースアウトに仕留める。ビッグプレーで勢いに乗ったかに見えたが、二死一、二塁から智辯学園・佐坂 悠登内野手(3年)に投じた初球のスライダーが高めに浮いてしまい、適時打を浴び、決勝点となってしまった。

 青柳監督は「佐坂くんを迎える前に伝令を送って、しっかりと間を取るべきでした。智辯学園で一番警戒していた打者でしたので」と悔やんだ。

 投手陣はセンバツの二枚看板・佐藤 龍月投手(2年)がヒジの負傷でベンチ外となり不安視されたが、2試合で2失点と一定の仕事を果たした。しかし、看板の打線が苦しんだ今大会だった。

智辯和歌山の初戦敗退は必然!?“強烈2本塁打”の裏にあった大きすぎる課題

大会7日目2回戦 霞ヶ浦(茨城)5-4智辯和歌山(和歌山)

 初戦敗退を喫した2021年の覇者・智辯和歌山。0対3で負けていた8回裏に2本塁打で同点に追いついたが、延長11回に2点を失い、逆転サヨナラとはならなかった。

 今年の智辯和歌山の戦力、ゲームプランをベスト8に進出した学校と比較すると、この敗退は必然だったとも言える。霞ヶ浦の技巧派左腕・市村 才樹投手(2年)に対し、フライを上げ続けた。ベンチからは「ライナーを打て」との指示があったというが、結果として8アウトがフライ。また、タイミングが取れず5三振。そして強引に体が開いて内野ゴロの併殺が2つ。本塁打2本で同点にしたのを見れば、打球を飛ばす能力は確かに高いのだが、粗さが目立った。

 また、守備ではこの試合、3失策。打球反応速度、打球処理、カバーリングのスピードなどを見ると、ベスト8進出した学校と比べて著しい差があった。現在の智辯和歌山の走攻守で全国で勝負できるレベルにあるのは、140キロ超えの投手が揃った投手陣のみ。戦術、打撃の対応力、守備など全国で勝ち上がるための課題は満載だ。

 智辯和歌山の卒業生は多くのベンチ入り選手が大学で野球を継続する。甲子園で勝つためだけではなく、これらの課題はどのステージで活躍するためにも必須のスキル。腰を据えて、強化に取り組むべきだと思う。

総合力は申し分ないものだったが…“淡白さ”が敗戦につながった大阪桐蔭

1 2 3