この秋、東海大会を制し、明治神宮大会に出場した大垣日大(岐阜)には、頼れる右腕がいる。中野 翔真投手(2年)はチームのピンチを救って、岐阜県、東海大会での優勝に貢献してきた。ケガを克服して「復活」を遂げた右腕は、精神的にたくましくなってマウンドに戻ってきた。

岐阜大会の決勝(中京戦)で先発し、6回を2失点に抑え優勝に大きく貢献した。東海大会の準決勝、岐阜第一との「岐阜対決」では、大きなピンチを2度乗り越えた。

0対5と大量リードを許し、なおも1死満塁のピンチだった3回途中から2番手でマウンドへ。後続2人を淡々と抑えてピンチを切り抜けて見せた。

2点リードで迎えた9回表も、2死としながらも自らの四球などでピンチを広げ、押し出しで1点差とされた。リードはわずか1点で、2死満塁。勝てば「センバツ出場へ大きく前進」する大一番で、負けるわけにはいかない。磨いてきたキレのある内角直球で詰まらせて捕飛に打ち取ってゲームセット。それでも喜ぶ素振りも見せずに、淡々と整列に並んだ。ピンチにも動じない、投手として大事な精神力が備わっている証拠だった。

東海大会決勝(対常葉大菊川)では、149球4失点完投に2点適時打と、投打で活躍してチームに優勝をもたらした。

ややアーム式のフォームで、キレのある直球と変化球を投げる。縦に割れるカーブ、カットボール、チェンジアップなど、変化球は多彩。直球も少し動いているような感じで、打者もバットの芯でとらえるのに苦労しそうだ。

1年から将来を期待されたが、今年の春に右肘を痛めて夏はベンチ外。この秋に向けて復活を図った成果が実った。リハビリの日々を乗り越えた右腕が精神的に強くなったのもうなずける。

東海大会までは「11」だった背番号も、明治神宮大会では「1」に変わっていた。東海大札幌(北海道)相手の初戦で先発するも、6回3失点で負け投手となり、全国の舞台での結果は出なかった。それでもケガを克服した右腕だけに、センバツに向けてさらなる進化を遂げてくれると信じている。

【中野の東海、明治神宮大会の成績】

<東海大会>

準決勝(岐阜第一)救援6.2回4安打2奪三振1失点(自責0)

決勝(常葉大菊川)先発9回10安打4奪三振4失点

<明治神宮大会>

1回戦(東海大札幌)先発6回5安打3奪三振3失点