阪神2位指名の今朝丸 裕喜投手(報徳学園)は将来のエース候補として期待がかけられており、背番号は28に内定したという情報が出ている。高卒投手が「28」を背負うのは阪神のエースとして活躍した江夏豊氏(大阪学院)以来となる。

 今朝丸のこの夏の成長を振り返りつつ、1年目のシーズンを展望をしていきたい。

 選抜から成長した点をあげれば、ストレートの平均球速向上である。選抜では最速148キロ、平均球速138.5キロだったが、夏の甲子園では最速146キロ、平均球速143.51キロと5キロもスピードアップした。ネット裏から見ていてもキャッチャーミットに突き刺すようなしっかりとパワーアップしているのが分かる。甲子園後の高校日本代表候補合宿ではリリーフで平均球速145.91キロ、U-18のアジア大会でも最速150キロをマークしており、かなり状態は良かった。ストレートをしっかりとレベルアップ出来たのは大きく評価できる。

 夏までは緩く大きく曲がるカーブとスライダーの組み立てであったが、U-18では130キロ後半のフォークを習得し、空振りを奪う場面が目立った。今朝丸自身、フォークには手応えを感じており、プロの舞台ではストレートと同じくらい重要な球種となりそうだ。

 制球力も非常に高く、26.2回を投げて、24奪三振、自責点3、四球はわずか3で、防御率1.03と成績面も申し分ない。高い制球力を支える投球フォームも完成度が高い。

 今の制球力を維持できれば、二軍でもそれなりのパフォーマンスは期待できそうだ。ただ、プロの世界では高校生と比べても格段にレベルが高い打者と対戦する。その中で自分の投球スタイルをどう構築するか。またフォームを崩さずにレベルアップができるか。プロで伸び悩む若手投手を見ると、高校時代より体重が増えて、筋力量も増えているのに、フォームを崩して、持ち味を発揮できない投手がいる。今朝丸は中学時代からフォームの動きは変わっていないと聞くが、体の使い方をさらに進化させていきたい。投球のメカニズムについて深い理解がある藤川球児監督のもとで入団できたのはかなり幸運ではないか。

 1年目は二軍で経験を重ね、2年目は二軍ローテーションに入りつつ、一軍デビュー。3年目から一軍定着して、ローテーション入りという青写真が描ける投手だと期待している。

地元・報徳学園のエースとして選抜準優勝に導いた逸材は阪神でもエースへ成長できるか。プロでの進化に期待だ。