甲子園出場校が続々と決まり、各地方大会も大詰めに迎えた。
2年ぶり甲子園出場を狙う横浜は武相に2対1で勝利を収め、神奈川大会4年連続の決勝進出を決めた。横浜の戦力を見ていくと、1年生が5人ベンチ入りしている。
その中で小野 舜友投手は3番を任され、高いミート力を発揮し、勝負強い打撃を見せている。投手としても130キロ後半の速球を投げ込み、大きな戦力となっている。
そんな小野の出身チームは愛知の強豪・東海中央ボーイズだ。東海中央ボーイズは愛知の知多市・東海市を本拠地に置き、2012年に創立された新鋭チームで、OBには昨年のオリックス3位指名の東松 快征投手(享栄)などがいる。毎年、県内外で活躍する選手たちを輩出してきたが、昨年のチームは特に人材揃いだった。
小野ら5人の主力選手はスケール、技量ともに群を抜いており、ボーイズ日本代表にも選出され、「BIG5」と騒がれた。目をつけていた多くの名門校がこの5人の争奪戦に参加し、中学硬式球界では話題となっていた。
この5人はそれぞれ甲子園やプロ選手を輩出している名門に進み、1年夏からベンチ入りしたのだ。
小野とともに横浜に進んだ江坂 佳史外野手は春、夏ともにベンチ入り。中学時代は俊足巧打のトップバッターとして活躍し、センターの守備も中学生とは思えないぐらい基礎がしっかりしていた。現在は代打中心だが、秋以降は主力として活躍が期待できそうだ。
智辯和歌山に進んだ山田 凜虎捕手は春からベンチ入り。中学時代は抜群の強肩、広角に打ち分ける打撃でクリーンナップとして活躍した。楽天、巨人でプレーした中谷 仁監督から捕手のイロハを学び、近畿地区を代表する捕手になれるか。
中京大中京に進んだ荻田 翔惺内野手は夏に背番号17でベンチ入り。昨年2月下旬に取材したときはこの選手が最もすごいと感じた。178センチ82キロの体型は1人だけ高校生に見えた。実戦形式のシート打撃では登板した荻田は130キロ台の直球で三振を奪い、そして豪快なスイングで本塁打にしていた。昨年3月の春季全国大会でも投打で活躍して、優勝に貢献した。まだ夏では出番がないが、秋以降にスタメンの機会が増えそうだ。
5人目は享栄に進んだ坂本 亮太投手だ。当時は180センチ78キロとすらっとした手足の長い投手体型で、130キロ台の速球、打者としても本塁打を打てて、「大谷二世」と騒がれていた逸材。東海中央ボーイズの指導者からはこの坂本が最も高く評価されていた。
プレーを見た印象としては遅咲きの印象を受けた。それほどストレートの強さはなく、体格的にも技術的にも優れている荻田と比べると、坂本は高校基準でみると、すぐというよりも、時間をかけてポテンシャルを伸ばさないと、伸び悩む選手に感じた。実際に享栄の大藤 敏行監督ら指導スタッフも、どうやって3年間かけて成長させるか、慎重にやっているという。
そんな坂本は春季東海大会からベンチ入りし、東海大会ではヒットを記録。夏では背番号3でベンチ入りした。初戦で敗れ、試合出場はなかったが、高校3年生では騒がれるような大型投手へ成長できるか注目をしていきたい。
中学時代、同世代でもトップの注目度をされていたこの5人は高校でも超高校級の逸材と注目されるような成長ができるか。
ベンチ入りはあくまでスタート。これからの試合で彼らの名前が聞かれることを期待したい。