7日、東京都高校野球連盟が海城にて指導者研修会を開催した。今年は夏の甲子園に出場した早稲田実の和泉 実監督と関東第一の米澤 貴光監督が聖地での戦いや自身の経験について語った。
はじめに選手権大会について問われると、「選手達がいつも通りに自信を持ってプレーできた」と話した米沢監督に対し、「予選も含めてイメージが湧かず、甲子園でも心配が多かった」と和泉監督は対照的に振り返った。それでも、「今まで出させていただいた中でも、今年ほど予選の時に比べて一試合、一球ごとに成長を感じる試合はありませんでした。全国制覇には届きませんでしたが、キャプテンの宇野 (真仁朗内野手・3年)を中心にチーム作りの面ではいい一年だったと思います」と話していた。
今夏の甲子園では、両校ともに記憶に残る名シーン残している。早稲田実は3回戦で大社と延長タイブレークの激闘を演じた。9回には一打サヨナラの場面で異例の内野5人シフトを敷き、見事にピンチを脱するなど高校野球ファンを大いに沸かせた。講習会を聞いていた指導者からタイブレークの戦い方について質問が飛ぶと、「2011年に遠征で宮古と練習試合をした時、とにかくスクイズをしてきて防げなかったんです。終盤にも同じような場面になって、右翼手を内野に配置しました。そこでスクイズが出来なくて勝った試合があったんです」と過去にも内野5人シフトを敷いていたことを明かし、「(甲子園では)フッと降りてきました。『ここでやれ』と言われているような。スクイズが来るとわかっていて何もしないでサヨナラ負けは嫌だったので、迷いなく布陣を取りました」と話していた。
加えて新基準バットにも触れ、「明らかにバットが飛ばなくなってそういう(タイブレークでチャンスが増える)チームが増えると思います」と見解を示した。和泉監督が小学生の頃は高校生も木製バットを使用していたと言い、当時広島商で指揮をしていた迫田 穆成監督から「1点をやらないこと、1点取ることをすごく練習していたことを聞いていました。そこまで戻るとは言いませんが、飛ぶバットとは変わっていると実感しましたし、今後はタイブレークが増えるんじゃないかなと思います」と語っていた。
関東第一は準決勝の神村学園戦が印象的だった。2対1でリードして迎えた9回、2死一、二塁で中安打を許すも、飛田 優悟外野手(3年)が矢のような送球で同点を阻止。間一髪のプレーでアウトにし、決勝進出を決めた。当時のプレーを振り返り、「1点目は彼(飛田)がチャージしていればアウトだったので、ベンチに返ってきて『もっといけたぞ』と指示を出しました。彼は2年生の秋に3つエラーした試合がありました。試合後泣きながら、次の試合まで特守をしていたことも知っていました。だからこそいいプレーに繋がったと思います」と選手を称えていた。
さらには、「夏の大会は選手に声はかけているつもりです。ことあるごとにミスを指摘しますし、選手もプレーに対する質問をしてきます。こうした会話を夏はしながらやっています」と語る。また、「自分もまだまだ経験不足で、先輩にアドバイスをもらいながら気づけるところがあると思っています」と日頃の指導ついても言及していた。