大阪桐蔭から西武に育成3位指名を受けたラマル・ギービン・ラタナヤケ外野手。高校通算33本塁打の長打力は光るものがある。ただ野球選手としての総合力を見ると、育成指名が妥当な選手だったといえる。
中学時代から並外れた長打力を持つラマルは両翼が広く、なかなか本塁打になりにくい舞洲ベースボールスタジアムでも場外本塁打を放ったり、2年秋の明治神宮大会では右中間へ弾丸ライナーを打ったりと、本塁打になった時の打球は桁外れのものがある。入学時は三振が多かったが、構えが小さくなり、スイング軌道もコンパクトになって、好投手相手にも、だいぶついていけるようになった。試合後に話を聞くと、スイング軌道や打席内の準備にかなり気をつけている選手で、意識は高い。打席数を重ねていけば、持ち味を発揮できる選手になるだろう。
ただ、最後の夏では代打中心になったのは守備力の低さがある。最初はサード、2年秋以降はファーストだった。捕球ミス、送球ミスなど、細かさなどが求められる内野には向いていない。最後は肩の強さを活かして外野手となったが、大阪桐蔭ではラマル以上に守れる外野手が多かったため、打力を活かしての代打だった。そのためアピールできる機会は少なかった。
ただ育成枠としてはかなり面白い選手だ。パ・リーグなのでDHでも使える。ラマルはプロでは外野手登録のため、外野手として鍛えながら、与えられた打席で、NPBの投手に対しての対応できるための技術を身につけることになるだろう。1年目はイースタンリーグよりも、アマチュアチーム、独立リーグの交流戦を行う三軍戦に出場機会を積みながら、2年目以降から二軍で出場機会を増やして成績を残して、3年目以降で、支配下登録を狙う段階になるだろう。
大阪桐蔭出身では本指名からプロで活躍するスラッガーは多くいるが、育成枠からは出世した選手は1人もいない。ラマルはこの3年間、ヒットを打つたびに大きな声援を浴び、愛された選手だった。ぜひ長打力を開花して、プロの世界ではベルーナドームを沸かせるスラッガーになることを期待したい。
ラマル ギービン ラタナヤケ外野手(プロではラタナヤケ・ラマル・ギービンで登録)
【経歴】
180センチ、体重92キロ
愛知・港ボーイズ出身
中学通算50本塁打を記録
父・バンダーラ ラタナヤケさんは学生時代にバレーボールのスリランカ代表
【実績】
1年秋 近畿大会 4番打者で抜擢 10打数3安打
1年秋 神宮大会 3打数0安打
2年春 センバツ 東海大菅生戦のみ出場
春季近畿大会 智辯学園戦で4番サードで5打数2安打
2年夏 大阪大会 4番打者として準優勝を経験
2年秋 近畿大会 12打数6安打 打率.500
神宮大会 関東一戦 4打数3安打
3年春 選抜 11打数2安打
3年夏 大阪大会 7打数2安打 1本塁打3打点
甲子園 2打数1安打
【小ネタ】
日本育ちということもあり、日本食が大好き。特に好きなのがお寿司。中学時代、お寿司を30皿完食している。