広島のドラフト1位、佐々木 泰内野手(県岐阜商出身/青山学院大)が仮契約を行った。その後の会見では「持ち味は長打力なのでホームラン王を取りたいが、まずは新人王」と意気込んだ。現在は明治神宮大会で負傷した左肩のリハビリ中だが、来春のキャンプからオープン戦で結果を残し開幕一軍、そしてスタメンを目指していくことになる。

 今シーズンの広島は長打力不足に苦しんだ。チーム52本塁打は12球団ワースト。30本塁打超えだけでなく20本塁打に到達した選手も不在だった。チーム最多本塁打が坂倉 将吾捕手(日大三出身)の12本で、他に2桁本塁打を放った選手は1人もいない。これでは本塁打数が伸びないのも致し方ない。それだけに佐々木の長打力にかかる期待は大きい。

 そんな佐々木の目指す新人王だが、広島からは栗林 良吏投手(2021年/愛知黎明出身)、森下 暢仁投手(2020年/大分商出身)、大瀬良 大地(2014年/日大長崎出身)、野村 祐輔投手(2012年/広陵出身)と2010年代以降で4人も誕生している。しかし4人はいずれも投手であり、野手では2006年の梵 英心内野手(三次出身)まで遡る。

 それ以前を見ても広島の野手で新人王を受賞したのは、1984年の小早川 毅彦内野手(PL学園出身)しかいない。野手の新人王が2人というのはDeNA(前身球団含む)と並んでセ・リーグでは最も少ない。

 そして本塁打王を獲得した選手もこれまで5人で阪神と並んでセ・リーグで最少となっている。日本人選手に限ると新井 貴浩(広島工出身)、江藤 智内野手(関東=現・聖徳学園出身)、山本 浩二外野手(廿日市出身)の3人しかおらず、これはセ・リーグにおいては単独でワーストとなっている。

 期待の長距離砲候補である佐々木は、球団の歴史においては獲得が少ない野手における新人王、そして本塁打王を手にすることができるだろうか。

<広島の本塁打王経験者>

エルドレッド、新井 貴浩、江藤 智、ランス、山本 浩二

<広島野手の新人王経験者>

梵 英心、小早川 毅彦