指揮官も絶賛させた優勝を手繰り寄せるバント
4年秋のパフォーマンスでドラフト上位指名の評価を確実としましたが、渡部選手がどのチームでも活躍できる選手だと感じたのは、優勝争いを繰り広げていた関西六大学リーグ・大阪経済大との一戦です。
バントを決める渡部
昨年10月16日、9回表に1点を先制された大阪商業大は2番から始まる好打順で、無死一、二塁のチャンスで渡部選手を打席に迎えました。ここで渡部選手が選んだのはなんとバント。投手の一塁側に転がす絶妙な犠打となります。大阪商業大は主砲のまさかの犠打から2点を奪い、逆転サヨナラで優勝を決めました。この場面はネットのライブ配信で見ていたのですが、実に痺れる場面でした。
この試合を取材した記者によると、大阪商業大の富山陽一監督は「ひょっとしたら最後になる打席でバントができるのは素晴らしい人間じゃないですかね。そういう子だから色んな意味で成功すると思います」と絶賛したそうです。渡部選手は「相手投手は凄くフィールディングが上手い選手で、バントをピッチャー前、特に三塁側にやってしまうとアウトになってしまう。絶対に打つと思っていて相手の守備がチャージが来ていなかったので、ファースト側のライン際に転がそうと思っていました」と根拠を持ってバントを決めたと言います。バントは普段からずっと練習をしていたようです。
高い打撃技術に加え、野球IQ、メンタルも強い選手だと実感させられました。渡部選手を下級生から見てきた関西地区の記者によると、「メンタルのブレが少ないのが凄い。取材していても常にテンションが変わらない」と精神面の強さを評価していました。
渡部選手が入団する西武は昨年91敗を喫し、単独最下位に終わりましたが、特にチーム打率.213、総得点350と打撃面に苦しみました。
低迷を脱出するには若手打者の成長が不可欠。チームの中心選手はメンタルの強さを求めたい。渡部選手はその資格を持っている選手だと思います。
ドラフト2位から球界を代表する打者になった選手といえば、DeNAの牧選手が挙がります。1年目から22本塁打、71打点、打率.314の活躍を見せ、そしてリーダーシップを発揮し、昨年の日本一に貢献しました。渡部選手はいきなり20本塁打以上は厳しいかもしれませんが、新人離れした成績は期待できると思います。
数年後、西武の救世主となった活躍を見せることができるか注目です。