NPB入りをして6年間で既に5度の盗塁王。4年連続のゴールデングラブ、ベストナイン獲得。日本球界屈指の名手として、確固たる地位を確立した阪神・近本光司外野手(社出身)。2018年のドラフト1位で入団した稀代のスピードスターだが、新スパイクを試してこう評価した。
「地面の硬いグラウンドが多いので、金具歯のスパイクだと地面からの衝撃が強すぎるんです。でもこのスパイクは履いた瞬間、すごく馴染みがよくて、実際に試合で履いた時にケガのリスクがより下がるのかな、というのが楽しみです」
見たことのないハイブリッドな1足
近本選手はスパイクを選ぶ際は、「ケガをしないこととフィット感」だと明言している。
関西学院大時代にアシックスのスパイクに出会ったことをきっかけに、フィット感の重要性を痛感。それからは意識しつつも、「土踏まずの部分をサポートしてくれる」というアシックスならではのフィット感に惹かれて愛用し続けており、NPB入り後も使い続けている。
2024年からはアドバイザリースタッフ契約を結んでいる近本選手が、「楽しみです」と期待で胸を膨らませているのが、自身も開発に携わった新ハイブリッドソールのNEOCONNECT(ネオコネクト)である。
大きなポイントとなるのは、アウトソール部分。
通常であれば金具歯だけを配置するか樹脂スタッドだけを配置するところだが、ネオコネクトは前足部分に金具歯4本、かかと部分に樹脂スタッド4本を配置。ハイブリッドソールと呼ばれる、アシックス独自の新ソールを搭載している。
金具歯のグリップ力だけではなく、樹脂スタッドがかかとの突き上げを緩衝し、近本選手のようなトップクラスの選手のみならず、これから野球を始めるエントリー層にも推奨出来る構造だ。競技レベル、年代に関係なく使いやすい1足となっている。
超一流がリクエストした緻密な構造とは
このスパイクの開発に、近本選手はアドバイザリースタッフとして意見を出したのだ。
開発に携わった近本選手についてネオコネクトの生みの親の加藤祐也さんは、このように振り返る。
Q 近本選手が開発に携わるきっかけは?
何度か会話をさせていただく中で、一流選手として大事にしているこだわりを正直にすべてお話いただき、特に長いシーズン、継続してパフォーマンスを発揮出来るように、疲労を軽減するスパイクを好まれていることがわかりました。ネオコネクトの開発段階からコンセプトが近本選手にマッチしていると感じたので、「より良い意見をもらえるかもしれない」と相談させてもらいました。
Q どのような要望があったのですか?
金具歯の形やサブスタッドの角度と位置。かかと部分の樹脂スタッドが地面に刺さる感覚が得られるように、など超一流だからこそ気がつける細かな部分にもアドバイスもらうことが出来ました。おかげでこれまでにない金具歯とスタッドの新しいハイブリッドソールの開発が実現しました。
Q 完成したスパイクを履いた近本選手の反応は?
キャンプ前の自主練習に足を運び、確認してもらいました。そこではこれまでの課題が「改善されています」ということで仕上がりにご納得いただけました。近本選手に「愛着の湧くスパイクになると思います」と言っていただき、このキャンプで本格的にご着用いただいています。