スパイク選びの新たな基準に!
自信の1足となったアシックスの新スパイク・ネオコネクト。金具歯と樹脂スタッドの両方を採用したハイブリッドソールはもちろんだが、足の甲部分を包むアッパー部分も創意工夫を凝らしている。
Q アッパーの改良ポイントは?
耐久性を考慮しながら、素材をやわらかくしたり、場所によって使う素材を使い分けています。つま先部分は指がある程度動かせるよう、伸縮性のある素材を使用し、土踏まず部分は、ある程度固定しねじれを防止するため硬めの素材にしています。
Q 多くの先進技術がつまったスパイクの開発期間はどのくらいだったのですか?
通常のスパイクの開発は1年半ぐらいですがネオコネクトは3年弱の開発期間がありました。
Q 時間がかかったのはなぜですか?
前モデルのネオリバイブをどう改良するかということからスタートしたのですが、ネオリバイブの構造でも金具の突き上げはだいぶ抑えられていたのですが、もっと足への負担を軽減したかった。
そこで、金具歯をさらに減らして樹脂のサブスタッドを配置したものを数か月試し履きしてもらい、プレー動画を何度か見返し、ヒアリングもしてみて、前足部分に金具があればかかとには必要ないという答えを導くことが出来ました。
こうしてネオコネクトの開発は始まったそうだが、通常よりも時間をかけたのは理由があった。
Q やり直しの決断をした時の気持ちは?
最初に試作品が完成した時、前モデルとの差別化が出来なかった。コストを含めて前より良くならなかったことで、開発期間を延長しました。悔しかったですよ。だからこそ、「開発者として納得出来るスパイクを作らないといけない」って覚悟が決まって、再開するタイミングで近本選手に協力してもらってブラッシュアップしました。
なので、このスパイクは一度諦めかけたところから再出発して完成した商品なんです。初めて1から開発したのもありますけど、思い入れは凄くあります。
Q 生みの親としてネオコネクトを、どんな選手に履いてほしいですか?
これまでのアシックスの技術が詰まった1足です。だから新入生からトップ選手と、本当にいろんな選手に履いてほしいです。
あとは今後のスパイク選びの新しい基準として選んでもらうのも良いと思います。金具歯で疲れるとか、スタッドに不安があるとか。もっといえば怪我が怖いとか、いろんな悩みを持っている選手は多いと思っています。
そういう選手こそ、今後スパイクを選んでもらうための1つの指標として“新ハイブリッドスパイク”があるということを知っていただけたらと思います。そのうえで継続して履いてもよいし、金具歯やスタッドに切り替えてもよいと思うので。
金具歯と樹脂スタッドの新ハイブリッドソール。この未知のスパイクに、「新たな挑戦なので不安もありますけど、楽しみの方が大きいです」と加藤さんは笑みをこぼす。その表情には、どこか自信も垣間見えた。
この自信が確信に変わったとき、それはネオコネクトが多くの野球人に愛された証拠だろう。そんな瞬間が来ることを、2025年シーズンを戦う近本選手の活躍とともに楽しみにしたい。