名門中の名門・大阪桐蔭が今年も甲子園に登場する。初戦は2日目の第1試合、対戦相手は興南(沖縄代表)だ。

 これまで春夏優勝7回で77勝17敗。勝率は驚異の82%。なぜ大阪桐蔭は強いのか。全国のトップクラスの中学生は大阪桐蔭を目指すのか――。

「3年生が率先してグラウンド整備など雑用仕事をやるんです。それが強さとチームの一体感を生んでいたと思います。あの根尾さんですら3年生になっても食器洗いをしていたんですよ」

 そう語るのは、大阪桐蔭出身で現在法政大の主将を務める吉安 遼哉選手だ。中学時代、強打の捕手として活躍した吉安は多くの名門校に誘われながら、全国制覇を目指して2018年4月、大阪桐蔭に入学。春夏連覇した根尾 昂投手(中日)らの2学年下になる。吉安に大阪桐蔭の強さの秘密を語ってもらった。

大阪桐蔭の3年生は食事当番、グラウンド整備も行う

――吉安選手の2学年上には根尾投手らプロ入り選手が4人もいて、春夏連覇を果たした“黄金世代”でした。入学した時はちょうどセンバツの最中だったのでしょうか。

吉安 センバツ3回戦ぐらいが入寮日でした。甲子園のスタンドで応援していました。大会中は先輩方の練習の手伝い。それが終わると自分たちの練習。結構バタバタしていたと思います。

――よく大阪桐蔭OBに話を聞くと、入学したての頃、先輩たちのスピード感に圧倒されたという話を耳にします

吉安 投手の球速、打者の打球の速さはもちろんなんですけど、集合の速さ、ポジションにつく速さなど、すべての行動にスピード感があって、圧倒されました。ここまで突き詰めてやっていることに驚きました。自分はついていくことだけで精一杯でした。

――夏の大会で、試合のボールボーイは期待された1年生がやると聞きました。

吉安 惜しくもベンチに入れず、秋に活躍が期待される選手たちが入ります。夏の大阪大会、甲子園は独特の雰囲気があるので、そういう空気をボール拾いをしながら感じるために期待の1年生が入るんです。

――吉安選手の代にはどの選手が入ったのでしょうか。

吉安 スラッガーの西野 力矢(JR西日本)、西武に進んだ仲三河 優太、國學院大の伊東 光亮。この3人がボール拾いをしていました。

――同級生もすごい選手ばかりですね。特に誰がすごいと思いましたか?

吉安 やはり西野の飛距離ですね。入学してすぐ彼の打撃を見て、かなわないなと思いました。

――1年生のときはなかなか生活のリズムに慣れるのに大変だったと思います。

吉安 そうですね。大阪桐蔭といえば携帯が禁止。中学生まで当たり前にあったもので、必要かなと思っていましたが、実際に1日を過ごすと、無くても問題ないことに気づきました。自主練習、洗濯、食事当番もあったり、その生活に慣れることで精一杯で、携帯を使いたいという気持ちは全くわかなかったですね。

――食事当番とは具体的にどういうことやるんですか?

吉安 食器洗いや、寮母さんが作ったご飯を配膳したりしていました。これは1年生だけではなく、3年生もやります。3年生だから免除ということはありません。

――ということは根尾選手もやっていたですね。

吉安 そうです。3年生が1年生のご飯を持ってくる日もありますよ。めっちゃ緊張しますけどね(笑)。根尾さんがご飯を持ってきたり、食器洗いしている姿も見たことありますよ。そこが大阪桐蔭の良さだと思っています。グラウンド整備は全員でやりますし、特に3年生が率先してやります。そんな先輩たちを尊敬もしますし、ついていきます。それが一体感を生んでいたと思います。それをやらないと後輩たちはついていきません。僕も先輩になったときは3年生のような行動をしたいと思っていました。

夏の大阪は簡単にいかない。履正社は大阪桐蔭にとって最後の難関

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