高校時代から理想的な成長を見せる2年目・木村優人
もうひとりは、高卒2年目の木村 優人投手(霞ケ浦)です。木村投手を初めて見たのは、高校1年生6月の東海大菅生との練習試合です。木村投手は190センチの長身でしたが、体が細く、ストレートはまだ120キロ台でした。
霞ケ浦の高橋 祐二監督は投手育成の名人と知られ、木村投手まで、綾部 翔投手(元DeNA)、遠藤 淳志投手(広島)、鈴木 寛人投手(元広島)、赤羽 蓮投手(ソフトバンク)と4人の長身投手をプロに送り込んでいました。入学当時から140キロ台の速球が投げられた最速152キロ右腕・赤羽投手とは異なり、他の3人は下級生時代、それほど速いストレートは投げられませんでした。しかし、3人とも順調に右肩上がりの成長を見せ、綾部投手は145キロ、遠藤投手は142キロ、鈴木投手は150キロに達しました。木村投手もこんな成長を見せるのではないかと想像しました。
木村投手の実戦を見たのは3年春です。県大会準決勝・土浦日大戦に先発し、球場のスピードガンでは150キロ、手元のスピードガンでは145キロを連発。鋭いカットボール、フォークを投げ、8回1失点の力投でした。打線の援護がなく、試合に敗れましたが、完成度の高い投球を見せてくれました。長身の本格派右腕の素質を順調に伸ばす霞ケ浦の育成計画は順調に来ていました。
最後の夏は決勝戦で敗れましたが、高校日本代表に選出され、6回11奪三振、自責点1の好投で、世界大会優勝に貢献しました。ただ高校日本代表での木村投手は茨城大会での木村投手と比べるとあまり調子は上がっていないように感じました。2023年のドラフトは大学生投手8名が1位指名される“大学生優位のドラフト”で、また、木村投手は高校日本代表で調子を崩したことから評価が伸び悩み、ロッテから3位指名となりました。
1年目は二軍で11登板し、19回を投げ、14奪三振、防御率2.37、四球4と高卒1年目としては合格点が与えられる数字でした。現在のキャンプを見ると、140キロ後半の速球を投げ込んでおり、課題だった出力は改善されているように感じました。1年目はプロの環境に慣れる時間でしたが、2年目は二軍ローテーションに入り、中6日でクオリティが落ちずに試合が作れる試合が多くなれば、一軍デビューも見えるのではないでしょうか。順調に行けば、3年目以降から一軍で投球回数100回以上も期待できる投手だと思います。
ロッテはほかの若手投手の育成も順調に進んでいます。
高卒6年目の中森俊介投手(明石商)は実戦力が高く、田中投手と同期である左腕・吉川 悠斗投手(浦和麗明)は16試合で防御率3.38と成長が見られます。
木村投手と同期である早坂 響投手(幕張総合)、育成・武内 涼太投手(星稜)も伸びてきています。高卒ルーキーで151キロ右腕・坂井 遼投手(関東第一)も実戦力が高い投手です。
まずはエース候補である田中投手、木村投手がトッププロスペクトに相応しい成績を残すことができるか注目したいです。