昨年4年ぶりの優勝を果たした巨人。今オフも大型補強を行い、リーグ連覇に向け抜かりない状況だ。

 中でもソフトバンクからFA移籍を果たした甲斐 拓也捕手(楊志館)の獲得は目玉の一つだろう。ベストナイン3度、ゴールデングラブ賞7度のタイトル歴にWBC優勝など経験は球界随一。5年15億の大型契約を結び、阿部 慎之助監督の背番号「10」を継承したことからも期待が伺える。

 捕手陣で気になるのが大城 卓三捕手(東海大相模東海大NTT西日本)の起用方法だ。彼もまたベストナインに2度輝くなど実績は十分でWBCメンバーに選出されるほどの実力者だが、昨年は打撃不振に見舞われ出場数も96試合と4年ぶりに100試合に届かなかった。序盤には約2年ぶりの二軍降格の屈辱を味わい、結果的に打率.254、本塁打3本、27打点と低調なシーズンを送った。

 正捕手返り咲きを狙う今季は、昨年台頭した岸田 行倫捕手(報徳学園大阪ガス)、山瀬 慎之助捕手(星稜)、小林 誠司捕手(広陵同志社大日本生命)に加え、甲斐の加入でますますレギュラー争いが激化している。年齢的にも32歳と我慢をして起用することは考えにくく、昨年の不調ぶりから再びスタメンの座を勝ち取るのは至難の業だ。

 それでも21年から3年連続で2桁本塁打を記録した打力は捨てがたい。甲斐が昨年打率.256、5本、43打点の成績を残している。それを踏まえれば、仮に大城が捕手として出場する場合、22年に記録した打率.266、13本、43打点と同等の成績が欲しいところ。打力が武器の岸田らを上回る活躍で存在感を示したい。

 出場機会に恵まれない場合は一塁手との兼用で新外国人のトレイ・キャベッジ内野手(グレインジャー高―エンゼルスーアストロズーパイレーツ)と競わせることも考えたい。期待の助っ人とは言え、来日一年目で日本の野球に適応できるかは未知数。成績が振るわない場合は大城の起用も大いに考えられる。ただし、一塁手としてならば主砲の岡本 和真内野手(智弁学園)に若手の秋広 優人内野手(二松学舎大付)らの出場も考えられ、23年の打率.281、16本、55打点と同様か、もしくはそれ以上の打撃は求めたいところだ。

 どちらにせよ大城の最大の武器である打撃の復調無くして、レギュラー争いに加わることは厳しい。リーグ連覇、そして2012年から遠ざかっている日本一奪回に向け始動しているチームに、再び貢献する姿を期待したい。