1月24日、センバツ大会出場校32校が発表され、いよいよ高校野球も春を迎えようとしている。一方、センバツ切符を逃した学校は、昨秋の悔しさをバネに日々練習に励んでいる。「一冬越えれば化ける」とも言われるこの期間。春、夏でリベンジに燃える球児たちは、どんな成長を遂げているのか。全国各地で巻き返しを誓う学校の「今」を指揮官の言葉からひも解く。

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 今回のセンバツでは21世紀枠で壱岐が選出。離島のチームということなどが選出理由とされている。その点では長崎県の強豪・大崎も同じだ。

 大島という離島に校舎があり、2021年のセンバツに出場した際は、離島から8校目の出場校として注目された。

 それから4年、長崎県内ではあと一歩優勝に届かないものの、毎年安定した強さを発揮している。その点について、指揮官である清水央彦監督も、「どうにか夏の大会はベスト4から落ちていませんね」と語ったうえで、その理由を自分なりに分析する。

「選手たちが冬場にとにかく徹底的に練習をやりきってくれて。戦術部分も食らいついてやってくれている。そのおかげでしっかりとした負けない野球を、毎年夏までには迎えられているんだと思います」

 戦績を振り返ると、2020年の独自大会から4年連続で夏の大会はベスト4以上の成績が続いている。スコアを見返しても、ほとんどの試合がロースコア。大崩れしない試合展開をしている。守備力を生かした野球を要因に挙げる清水監督の考察は、たしかに正しい。

 ただ、その野球では甲子園にあと少し届かないのが現状だ。

「甲子園に行くには、勝てる野球をやらないと勝てない。それはうちの場合、バッティングが足りていない。野球は長打を出した方が絶対圧倒的に有利に働きますので、それが出てくれたらと思いますが、好投手と対戦したら、そう簡単には出せません。なので、粘っていくしかないと思うんですよね」

 特に今年のチームは、「先輩たちと比較すると、実力的には課題が多い」と清水監督は覚悟をしていた。ただ厳しい暑さを耐えながら練習を続けたおかげで、粘り強さは出てきた。「量質転化ではないですが、やれば粘れるようになるんだ」と改めて学びもあったようだ。

 こうして秋季大会は大崎らしい守備を武器にベスト4まで進出した。だが、壱岐波佐見に連敗を喫して九州大会には進めなかった。

「力が物足りないですし、新基準バットになったことでミート力がないと、余計になかなかヒットが出ないようになっています。実際、大会中は全然打てなくて。先輩たちと比較しても、少し課題が多いと感じています」

 夏の大会を想定すると、「3月いっぱいまでトレーニングをしないと、最後は力負けしてしまう気がするので、とにかく練習をしています」と話す。

 そのなかでキーマンになりつつあるのが、エースである前川 響投手(2年)。球質に課題はあるものの、スピードは146キロを計測したという。他の投手の台頭に期待をしつつも、「どれくらいチームのためだと思って投げられるかだと思います」と清水監督は、期待を寄せている。

 センバツには2021年に出場したが、夏の甲子園はまだない。悲願の初出場へ「今年はしっかり束になって戦えれば、チャンスはあるかなと思います」とチーム力で戦う姿勢を示したうえで、選手たちに期待をしている。

「不安はありますけど、頑張った分だけ成長できる世代なので、頑張って成長してきてほしいと願っています」

 この夏も上位進出、そして甲子園へ。強豪・大崎の戦いから目が離せない。