第97回選抜高校野球大会(センバツ)は3月18日に開幕(阪神甲子園球場)を迎える。大会開催を前に、出場校の過去のセンバツの戦いぶりを振り返る「出場校あの日・あの時」を紹介していく。今回は、2007年に優勝した常葉大菊川(静岡)にスポットを当てる。
センバツ2度目の出場となった常葉大菊川(当時は常葉菊川)が、初優勝を飾ったのは2007年だった。バントをほとんどしない野球が特徴で、大会を通じての犠打はわずか1。チャンスでも積極的にバットを振る攻撃で、センバツの頂点をつかんだ。
初戦は仙台育英(宮城)に2対1の逃げ切りに成功。今治西(愛媛)との2回戦では10対0と投打に圧倒した。大きな山場となった準々決勝の大阪桐蔭(大阪)戦では、0対1で迎えた8回に同点とすると9回に勝ち越しての逆転勝利を収める。勢いに乗ったナインは準決勝の熊本工(熊本)戦でも9回1点差をひっくり返すミラクル劇。決勝でも大垣日大(岐阜)に対して8回に1点差をひっくり返す逆転で初の栄冠を手にした。準々決勝から3戦連続で終盤に逆転しての勝利に、高校野球ファンの心をつかんだ。
強力な相手を攻略しての結果でもあった。初戦の仙台育英のエースは、のちにヤクルトに入団した150キロ超右腕、佐藤由規投手(プロ野球での登録名は由規)がいた。大阪桐蔭には現中日の中田 翔内野手がいて、投手も務めていた。前の試合で2打席連続本塁打を放っていた中田に対して、のちにDeNA入りする田中 健二朗投手が3打数無安打に抑えて見せた。当時、成田(千葉)の唐川 侑己投手(ロッテ)とともに、高校ビッグ3と言われたうちの2人から勝利を奪っての堂々の優勝だった。
静岡勢の優勝も浜松商以来、29年ぶり4度目のことだった。胸のロゴと、ピンストライプのユニフォームから、「メジャーのヤンキースみたい」とも言われた常葉大菊川。その後、センバツでは8強に進めていない。あの逆転の快進撃を見せた18年前を思い出させてくれるだろうか。