激戦区神奈川の強豪・桐光学園から昨秋、7人目となるプロ野球選手が誕生した。その名は森 駿太内野手。中日から3位指名を受けた期待の大砲候補だ。高卒ではメジャーで活躍する松井 裕樹投手(現・パドレス)以来、野手では初の快挙となった。

 1月から始まった新人合同自主トレでは、打撃練習で強烈な打球を放って松中 信彦一軍打撃コーチを唸らせた。2月に入ってもキャンプで快音を響かせ、早くも中日ファンを虜にしている。そんな森が歩んだ軌跡やプロ野球選手としての将来像に迫った。

引退から半年で10キロ増量

 森は高校通算48発の強打者としてプロ注目の存在だったが、甲子園とは縁がなく昨夏の神奈川大会も準々決勝敗退に終わった。18打数4安打6打点で打率.222と思うような数字を残せず、試合後には人目をはばからず、大粒の涙を流した。

 試合後の取材では「一度決めたことは最後までやり抜くというチームの目標でもあり、自分の目標でもある」とプロ志望を明言。ユニフォームは汚れ、右太腿も土まみれ。呼吸が乱れるほどの涙でほほを濡らし、仲間に肩を支えられながらロッカーへと引き返していった。

 それから約半年、年の瀬が迫った桐光学園のグラウンドで再会することに。下級生の練習に混ざる森を探すと、アップ中の集団にその姿が。そこでまず驚いたのが体の大きさだった。

「引退後はウエイトトレーニングを重点的に行いました。時間というよりかはこの日は足、この日は腕といったように、部分分けしてしっかり追い込むようにしていました」

 85キロだった体重は93キロまで増量。肩や腕周りを中心に、上半身の厚みが一段と増していた。

「結果で左右されるっていう人間にはなりたくないので、自分の核となるものをしっかり持ち続けられる人になりたい」

 信念をブラさず貫いた。ひたむきな努力が実を結んだ。

「ドラフト指名直後は何が起きたのかわからなかったです。本当に頭が真っ白になったというか、あまり動けなかったというか。監督さんと一緒に見ていて、本当に喜んでいただいて、それで実感しました」

打撃コーチも太鼓判「侍ジャパンに選ばれるものはある」

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