打撃コーチも太鼓判「侍ジャパンに選ばれるものはある」
高校生離れした飛距離が最大の魅力
そんな森が「もし出会っていなかったら、自分は今大学に進学していると思います」と断言するのが増田 仁コーチだ。
増田コーチは、桐光学園で主将を務め甲子園を経験。大学で現役を引退し、一般就職をしたが母校で指導にあたった。2020年からは神奈川大で指導したが、一昨年の3月末に再び桐光学園のコーチに就任している。
そんな増田コーチは、森の潜在能力に太鼓判を押す。
「彼のポテンシャルで高卒プロが無理だったら、桐光学園から高卒プロって無理なんじゃないかと思っていました」
昨秋のドラフトでは、高卒の左打者ではヤクルト2位指名のモイセエフ・ニキータ外野手(豊川)に次ぐ2番目の速さで指名を受けた。評価を高めたのは打者としての『スケール感』だと増田コーチは推測する。
「飛距離という彼の一番の強みを消すことなく、お互い最後まで走り抜けられたなとは思います。僕が神奈川大で梶原(昂希外野手=大分雄城台―神奈川大)を見ていた時に、身長を生かしたバッティングをしているなと感じたことは、森に対する指導にもいきたと思います」
身長187センチの長身を活かし、鋭く速いスイングに磨きをかけた。「(中日からは)伸びしろを最大限評価していただいた」と増田コーチが語るように、持ち前の打撃センスと飛距離がスカウトの目に止まったのだろう。
教え子に高まる期待。二人三脚で歩んだ増田コーチもその気持ちは変わらない。
「死ぬ気でやれば侍ジャパンのトップチームに選ばれるだけのものはあると思います。あとは本人の頑張りですね」
「バンテリンドームが小さく見えるような打者になりたい」
仮契約、入団会見を経て着々と憧れのプロ野球選手になる実感が湧いたという。それでも森は浮足立つことなく、至って冷静だ。
「まだ自分はプロになっただけで、一軍で活躍することがプロ野球選手だと思っています。入っただけでプロという認識はないので、これから一軍で定着して試合に出続けたいです」
プロ入り後の目標に掲げたのは「毎年本塁打王を取ること」。中日は2017年のアレックス・ゲレーロ外野手、日本人では1996年の山崎 武司内野手(愛工大名電)以来出ておらず、ファンが渇望する”和製大砲”を目指す。
「この体を生かした長打力が魅力だと思っているので、球場関係なくホームランを打って、 毎年ホームラン王を取れるような選手を目指して頑張っていきたいと思います」
突き抜けるスケールの大きさに、努力家の一面も持ち合わせる森。竜の未来を担う大砲候補は、井上 一樹新監督のもと再建を目指す中日の新たな象徴となるはずだ。
「自分がバンテリンドームで打席に立ったら、バンテリンドームが小さく見えるようなバッターを目指します」
一軍の舞台で活躍する姿が待ち遠しい。