第97回選抜高校野球大会(センバツ)は3月18日に開幕(阪神甲子園球場)を迎える。大会開催を前に、出場校の過去のセンバツの戦いぶりを振り返る「出場校あの日・あの時」を紹介していく。今回は、第1回大会の覇者・高松商(香川)の2016年の準優勝にスポットを当てる。

 伝統校と呼ばれる高松商は、センバツ大会第1回の覇者である。参加10校で行われた大会で、早稲田実(東京)を決勝で破って優勝した。その後、1960年に2度目のセンバツVを果たしたのち、しばらく優勝はなかったが、21世紀に入り、伝統校復活Vにあと1歩までたどり着いた年があった。2016年の春。前年に明治神宮大会に初優勝した名門ナインが、一冬越えた春に、全国頂点まで、ほんの少しのところまでこぎつけた。

 初戦でいなべ総合(三重)相手に苦戦を強いられたが、9回1点ビハインドを追いついて、延長戦の末にサヨナラ勝ち。2回戦では創志学園(岡山)のプロ注目右腕・髙田 萌生投手(元巨人、楽天)を攻略して勝利した。準々決勝ではナイターとなった海星(長崎)との試合で打撃戦の末に17得点して勝利。実に22安打を浴びせた。秀岳館(熊本)との準決勝では延長11回の激闘の末に競り勝った。

 エース右腕・浦大輝投手(3年)を柱にした伝統の守りと、3番・米麦圭造内野手(3年)、4番・植田響介捕手(3年)、5番・美濃晃成内野手(3年)のクリーンアップを軸とした強力打線が機能した。プロに進んだ選手こそいなかったが、その後、大学、社会人野球で活躍した逸材がそろっていた。

 決勝は智弁学園(奈良)の前に、1対2で延長11回サヨナラ負けを喫した。のちに阪神に入団する村上 頌樹投手(3年)と浦との息詰まる投手戦が繰り広げられたが、最後はその村上に適時二塁打を浴びて敗戦となった。強さを誇った伝統校の快進撃に、決勝では多くのオールドファンが詰めかけて復活Vを願ったが、思いは届かなかった。

 その後、巨人ドラフト1位の浅野 翔吾外野手を輩出するなど、全国強豪私立校に負けない存在感を放っている高松商。公立校を代表する名門として、今センバツでも末包 旬希投手(2年)を中心とした豊富な投手陣と、昨秋公式戦チーム打率.367を誇る打線が、牙をむくに違いない。

2016年センバツ高松商のスコア

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