ラストシーズンは二刀流で活躍したい
ただ、大村の練習を見れば、豊かな才能は分かる。取材日に行われた投球練習で投げ込んだ角度のある速球は威力があった。打撃練習でも鋭い打球を飛ばし、スラッガーとしての可能性を感じる。高倉監督によると、視察した大学野球関係者からは投手として評価する声が多いという。
「ある大学野球部の監督さんから『プロにいく素材だ!』と絶賛してくれました。それだけ大きく育てたいと思わせるものはあるのでしょうね」
大村本人は「夏までに150キロは投げたいですね」と投手としての目標を語る。
「ハルンさんから、力の溜め方など、よくフォームについて教えてもらいました。球威と角度で勝負できる投手になりたいです」
高倉監督は2年秋以降の大村の心身の成長に目を細める。
「素材としては魅力的な選手ですが、投手は投げる以外にも牽制、フィールディング、クイックなど細かい技術もしっかり練習をしないといけない。プロ入りしたハルンはその点、卒なくやっていましたからね。大村も年明けから意識が変わってきました。フィールディング、牽制も上達が見られます」
公式戦登板を目指し、紅白戦や、3月から始まるオープン戦でアピールするつもりだ。高倉監督の期待も大きい。
「投打どちらも期待しています。暖かい日は紅白戦を行い、オープン戦でも起用していくつもりです。彼はあまり登板していないので、肩、ヒジが“使い減り”しておらず、伸びしろがあるかなと思っています。彼が投打ともに大暴れするような成長を見せれば、チームを大きく押し上げるでしょう。まさに今年のキーマンです」
大村自身も二刀流としての活躍を目指している。
「今は投手だけ、野手だけというのはありません。どちらも勝負できる選手になれるぐらいレベルアップしたいです」
本人とチームの意向では、まずは高卒プロを目指し、レベルアップに取り組んでいる。その道のりは険しいが、先輩・菊地ハルンは最終学年で一気に急成長し、ドラフト指名につながった。大村が菊地同様の努力を続ければ、ドラフト戦線に加わる選手になるだろう。まずは春季大会。どんなパフォーマンスを見せてくれるのか。
大村ウィリアム
右投げ右打ち 184センチ86キロ
茨城県大洗町出身 水戸シニアでは6番外野手として出場。
千葉学芸では2年秋に背番号23でベンチ入りするが、地区予選、県大会も出場なし。
春の公式戦デビューから飛躍を目指す二刀流。