第97回選抜高校野球大会(センバツ)は3月18日に開幕(阪神甲子園球場)を迎える。大会開催を前に、出場校の過去のセンバツの戦いぶりを振り返る「出場校あの日・あの時」を紹介していく。今回は、沖縄県勢初となる沖縄尚学(沖縄)の1999年Vを振り返る。

 沖縄尚学ナインは、粘り強く、勝負強さを発揮して勝利を重ねていった。初戦で比叡山(滋賀)の好投手・村西哲幸投手(3年)からスクイズで奪った1点を、左腕エース・比嘉公也投手(3年)が完封して1対0で勝利。その年のドラフトで横浜(現・DeNA)から3位指名された右腕・村西に投げ勝った。2回戦でも浜田(島根)相手に比嘉公が完投勝利を挙げると、上位打線を組み替えて臨んだ市川(山梨)戦では打線が機能して勝利し、4強入りを果たす。

 最大の難関だったのはPL学園(大阪)戦。大会前から優勝候補の大本命だった相手に対して、比嘉公が真っ向勝負を挑みピンチを切り抜ける。打線も粘りを見せて得点を重ねる。延長戦にもつれ込み、11回は互いに1点ずつを挙げるなど激戦の末に、最後は球場全体を味方につけた沖縄尚学ナインが12回に勝ち越して逃げ切った。

 決勝は水戸商(茨城)相手に中盤に得点を重ねて圧勝。先発した照屋正悟投手(3年)が2失点完投勝利した。後に広島に入団した主将・比嘉寿光内野手(3年)の手に紫紺の優勝旗が渡り、沖縄県勢悲願のセンバツVが実現した。

 沖縄代表として初めて甲子園出場を果たした首里ナインが、検疫のため甲子園の土を地元に持ち帰ることができず海に流された悲しい過去があった。戦争を体験した栽弘義監督率いる沖縄水産が2年連続の夏準優勝に泣いたこともあった。その栽監督の教え子・金城孝夫監督率いる沖縄尚学ナインが、沖縄高校野球界の悲願を成し遂げたことになる。

 優勝に大きく貢献した比嘉公は、母校を率いて2008年センバツで優勝を導いた。選手として監督として春の頂点に立っている。2013年には明治神宮大会も制するなど、沖縄野球界をリードする指導者として成長している。また、1番打者として活躍した荷川取秀明内野手(3年)は、現在、松山聖陵(愛媛)の監督を務め、チームを甲子園に導いている。

 昨年秋の九州大会で優勝した沖縄尚学。今年は150キロ左腕・末吉 良丞投手(1年)を擁し、3度目のセンバツ優勝に挑む。

1999年センバツ沖縄尚学のスコア

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