長いオフシーズンが終わり、各チームがここから春季大会に向けて練習試合等を通じて調整に入る。冬場の成果を発揮する戦いになるわけだが、「やることは大きく変える必要はないけど、回数を変えながらやれたらいいと思います」とトレーニングを継続する必要性を訴えるのが、ゼットの宇津木巧さんだ。

数多くのチームが受けているゼット測定の担当者の1人で、これまで数多くの選手たちに体づくりの指導をしてきた。専門家といっても過言ではない。

そんなスペシャリストがどうしてトレーニングを継続し続けることを伝えるのか。特に3年生は引退まで残された時間は僅か。その両立についても語ってもらった。

スピードと感覚を出す

宇津木さんは専門家としてトレーニングを続ける大切さを語るが、重要性は違いがあるようだ。

「全く変わると思います。シーズンオフは土台部分をしっかり作ることを大切にしますけど、シーズン中は作り上げた土台を使えるようにする。そこに意味合いの違いがありますね。なので、持っている筋力をしっかり出せるか。スピードに繋げることが出来るか。動きにエラーはないか。どう動かして筋力に繋げられているのか、というトレーニングが大事になります」

数多くのチームに測定やトレーニングをしていると、オフ前に比べて「スイングスピードや30メートル走などが伸び悩む」ケースが多いという。土台作りにフォーカスしたことで、瞬発力に欠ける状態になっているからだ。なので、このシーズンに入るタイミングで、スピード強化に入って作り上げたフィジカルを動かせるようにすることで、野球に繋げていく。

そのためにラダーやミニハードルといった器具を活用にしてスピード感、瞬発力を強化するのが方法の1つ。と同時に「感覚を出すような作業が必要だと思います」と宇津木さんは解説する。

「野球であれば、バッティングでもピッチングでも、下半身の力を上半身に伝えることが大切です。そのために股関節の感覚は大切なんですけど、感覚が鈍くなるケースがあるんです。
疲労によって股関節があまり使えないようになってしまって、突っ込んだり、手打ちになってしまったり。上半身と下半身がバラバラに動いてしまって、筋力とスピードを強化してもプレーに繋がらないケースがあるんです。そこは正直、野球界にとって難しいところだと思います」

ただそうした感覚出し、コンディショニングもうまくはまってくると、「冬に強化した筋力を発揮やすくなって、いきなり速くなる」と、ゼット測定の項目の1つである30メートル走や反応速度の数字が高まってくるという。

無理なくシーズン中にトレーニングをやるには

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