無理なくシーズン中にトレーニングをやるには

こうしてシーズンに向けて体を仕上げていくわけだが、トレーニングには可逆性の原理と呼ばれる理論がある。
トレーニングをして強化した筋力はずっとついているわけではなく、トレーニングをやめてしまうと元通りになってしまうという原理で、トレーニングを継続する必要性を訴える。

だから宇津木さんは「夏の大会中でも筋肉に刺激を入れてあげるべきです」とパフォーマンス維持のためにも、引退するまでやり続ける大切さを改めて伝える。

とはいえ大会前にトレーニングでケガをしてしまうのは、主力選手としては避けたいところ。ゆえに追い込みすぎず、休憩もしっかり入れてあげることが大切だ。
「基本的には体づくり、ウエイトは3か月かかるので、筋力アップさせるんじゃなくて筋力維持・向上やスピードなどが大切になっていきます。
ですので、冬場は筋肥大でしたけど、シーズン中は3RMから5RMくらいの重量を3セットくらい。ペースは筋肉を48~72時間休ませたいところでもあるので、週1回やってもらえたら筋力維持できると思います」

ただなかには、さらなるアピールをするためにフィジカル強化で土台を高めたい選手もいるだろう。チーム全体でもう一押しレベルアップしたいところもあるだろう。そうしたことを踏まえて、宇津木さんはこんなアドバイスを送る。

「最短で結果を出さないといけないと思うので、そうすると要点を絞る必要が出てきます。上半身か、下半身か。もっと言えばこの種目だけなど、出来る限り細分化して詰めていかないと難しいです。そうなると、自分がチームの中でどんなポジションなのか。何が求められているのか。自分に与えられた役割のために、必要なことをやっていくことが大切だと思います」

選手によって武器にするものはそれぞれだろう。なので、やるべきメニューも変わってくる。残された時間が短いからこそ、全員で同じものをやるのではなく、それぞれで必要なことをトレーニングで補うべきなのだ。

スピード強化は十分間に合う!

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