柔軟性も磨いてベストな状態を整えよう!
とはいえ、やはりシーズン中で追い込むことは躊躇してしまう。ケガのリスクを考えると、やり切れないことも十分あるだろう。宇津木さんもその気持ちは分かっている。
だからこそ、宇津木さんが勧めるのは加圧トレーニングである。
「どうしてもケガのリスクから、3RMから5RMでも高重量だからシーズン中に扱えない選手であれば、加圧がいいと思います。筋繊維を傷つけることなく、乳酸を貯めさせて、成長ホルモンを出せるので、低重量で十分効果を発揮できます。
SAQも同じで、ボックスジャンプはもちろん、アジリティで方向転換するのに筋肉を使って早く動かすので、大きなメリットがあります。なので、本数やタイム設定を易しくしてもらえれば負荷を減らしながら追い込めるので、良いと思います」
ゼット測定には、総筋量と呼ばれる数字がある。その選手がいかに筋力を持っているかを指し示す数字だが、そこと各種目の成績などを見ながら、宇津木さんはトレーニング指導をするそうだが、特に注意深く見ているのは柔軟性の項目だ。
「シーズンに入ってしまうと、ストレッチに時間を使うところは減ってしまいます。けど、柔軟性はケガのリスクを防ぐ観点でも大切なところなので、ここの結果から各チームの意識の高さが見えますし、足をつったり、ケガしたりする傾向があるように感じます。高出力が出せるのに、柔軟によって体の使い方が悪くてケガをするリスクを高めているので、しっかり柔軟性はやってほしいんです」
本当は柔軟性向上の効果が出てくる目安は、4、5か月はかかるとされているそうだ。夏の大会までにはギリギリ間に合わないかもしれない。それでも「怪我のリスクを少しでも減らすために、やった方がいいのは間違いない」と宇津木さんはメッセージを送る。
またケガ防止の観点では、「シーズン中はエネルギー不足になりがちですし、ケガ対策や大会に向けて逆算して摂取してほしい」と食事面からでも体づくりはできると説明。というのも、ゼットはオーダーでプロテインも作ることが出来る。ゆえに宇津木さんは栄養面に対しても知識を持っており、その観点からでもチームや選手にアプローチして、シーズンに合わせた体づくりを指導している。
長く、辛かったオフシーズンのトレーニングを乗り越えて迎えたシーズン。その成果を出し続けるためにも継続しながらも、スピード感を高める。そして柔軟でリスクを減らす。この3つを噛み合わせた先に、理想のプレーが待っているはずだ。
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